こんにちは。「年収1000万円」という響きに、どこか特別なものを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。今の仕事ではなかなか見えないその数字を、不動産営業の世界では20代や30代で達成している人が、実はたくさんいるんです。
でも、「本当に自分にもできるの?」「相当厳しい世界なのでは?」といったご不安や疑問が浮かぶのも、とても自然なことだと思います。
この記事では、私がこれまで広報として350人以上の不動産のプロに取材してきた経験から、不動産営業で年収1000万円を達成することがなぜ可能なのか、そのリアルな仕組みと、目標達成のために必要なことを具体的にお話ししていきます。
夢物語ではなく、現実の目標として捉えるためのヒントが、きっと見つかるはずです。どうぞ最後までお付き合いくださいね。
この記事でお伝えしたいこと
- 不動産営業で年収1000万円が現実的な理由
- 高収入を実現する給与体系(インセンティブ)の仕組み
- 年収1000万円を稼ぐ営業パーソンの共通点
- 1000万円を目指せる会社の選び方と注意点
なぜ不動産営業は年収1000万円を目指せるのか?その構造と背景
「不動産営業は稼げる」というイメージは、多くの方がお持ちかもしれません。でも、なぜなのでしょうか。その背景には、この業界ならではの、はっきりとした構造的な理由があるんです。一つひとつ、丁寧に見ていきましょうか。
理由1:扱う金額が大きく、成果がダイレクトに報酬に反映されるから
不動産営業で高収入が可能な最大の理由は、取り扱う商品の金額が非常に大きいことにあります。
お洋服や家電とは違い、不動産は一つのお取引で数千万円、時には億を超えるお金が動きます。そして、会社は売買を仲介することで、お客さまから「仲介手数料」という形で報酬をいただきます。
例えば、5,000万円の物件の売買が成立した場合、法律で定められた上限で計算すると、会社には約171万円(税抜)もの仲介手数料が入ることになります。これは、会社のとても大きな利益になりますよね。
そして、その利益の一部を、契約を成立させた営業担当者に「インセンティブ(歩合給)」として還元する。これが、不動産営業の給与体系の基本的な考え方なんです。だからこそ、一件一件の成果が、ご自身の収入にとても大きなインパクトを与えるんですね。
私が取材したある会社では、社内の上位半分に入れば年収1000万円を超えるそうです。トップセールスの方になると、年収2,000万円は珍しくなく、中には4,000万、5,000万円という方もいらっしゃいました。これは、成果が正当に評価される仕組みがあるからこそ、実現できる数字なんです。
理由2:年齢・学歴・性別は関係ない「完全実力主義」の世界だから
日本の多くの企業には、まだどこか年功序列の風土が残っているかもしれません。ですが、不動産営業の世界は、とても分かりやすい「実力主義」です。
お客さまが家という大きな買い物を決断する時、担当者の年齢や学歴、入社何年目か、といったことは、本質的な判断基準にはなりません。それよりも、「この人は信頼できるか」「自分のために一生懸命動いてくれるか」という、人としての魅力や専門性で選ばれるんです。
ですから、20代の若手社員が、40代のベテラン社員よりも高い成績を上げることも、日常的に起こります。未経験から転職された方や、女性の営業担当者がトップセールスになることも全く珍しくありません。スタートラインに関係なく、成果を出した人が評価される。この公平さが、大きなやりがいと高収入に繋がっているんですね。

理由3:業界全体が「活躍できる人材」を常に求めているから
不動産業界は、実は慢性的な人材不足という一面も持っています。特に、お客さまからの信頼を得て、継続的に成果を上げられる「売れる営業」は、どの会社にとっても喉から手が出るほど欲しい人材なんです。
会社側も、採用した社員にすぐに辞められてしまっては大きな損失です。そのため、優秀な人材を引きつけ、長く活躍してもらうためのインセンティブとして、魅力的な報酬体系を用意する必要があるんですね。
これはつまり、スキルを磨いて結果を出せば、ご自身の市場価値がどんどん上がっていくということです。社内での昇進はもちろん、より良い条件を提示されて、他の会社から声がかかる、ということも十分にあり得ます。ご自身の頑張り次第で、キャリアも収入も切り拓いていける環境なんです。
理由4:高い専門性が求められる「プロフェッショナル」な仕事だから
少し意外に思われるかもしれませんが、海外、特にアメリカなどでは、不動産エージェントは弁護士や医者と並んで尊敬される、社会的地位の高い専門職として認識されています。
それは、不動産取引が、法律(民法、宅建業法、建築基準法など)、税金(所得税、固定資産税など)、金融(住宅ローン)、建築といった、非常に高度で幅広い専門知識を必要とするからです。
お客さまの大切な資産と人生に関わる仕事だからこそ、営業担当者には単なる「物売り」ではなく、信頼できるコンサルタントとしての役割が求められます。こうした高い専門性を持つプロフェッショナルに対して、高い報酬が支払われるのは、ごく自然なことだと言えるのではないでしょうか。
年収1000万円を実現する給与体系のリアル|インセンティブの仕組みを徹底解説
「不動産営業は稼げる」というイメージの中心にあるのが、「インセンティブ(歩合給)」という制度です。この仕組みを正しく理解することが、高収入を目指す上での第一歩になります。ここでは、その具体的な中身を詳しく見ていきましょう。
不動産営業の主な給与体系4パターン
不動産会社の給与体系は、会社の方針や文化によって様々ですが、大きく分けると以下の4つのパターンがあります。ご自身がどんな働き方をしたいか、どんなリスクを取れるかと照らし合わせながら、考えてみてくださいね。
不動産営業の主な給与体系
パターン | 特徴 | メリット・デメリット |
---|---|---|
① 固定給 + 歩合給 | 最も一般的なタイプです。 | メリット:安定した収入を得ながら、成果次第で上乗せを狙えます。 デメリット:歩合率はフルコミッションに比べると低めです。 |
② 固定給 + 賞与 + 歩合給 | 個人の成果と会社の業績の両方が反映されます。 | メリット:より安定度が高く、チームでの成果も評価されやすいです。 デメリット:歩合給の割合が低くなる傾向があります。 |
③ 固定給 + 賞与 | 大手企業に増えているタイプです。インセンティブは賞与に反映されます。 | メリット:月々の収入が安定し、組織的な営業活動に集中できます。 デメリット:個人の爆発的な成果が、すぐには収入に結びつきにくいです。 |
④ フルコミッション(完全歩合制) | 固定給がなく、成果が収入の全てです。業務委託契約が多いです。 | メリット:歩合率が50%以上と非常に高く、年収1億円も狙えます。 デメリット:成果が出なければ収入はゼロ。未経験者にはリスクが高いです。 |
インセンティブ(歩合給)は一体いくら貰えるの?
では、皆さんが一番気になるところであろう、インセンティブの具体的な金額について見ていきましょう。歩合率は会社や個人の成績によって様々ですが、一般的には仲介手数料の5%〜20%くらいが相場だと言われています。
ここで、少し計算をしてみましょうか。
【シミュレーション】5,000万円の物件を仲介した場合
- 仲介手数料(会社に入るお金)
5,000万円 × 3% + 6万円 = 156万円
※これは売主さま・買主さまの片方からいただく金額です。両方からいただければ倍になります。ここでは片方で計算しますね。 - あなたのインセンティブ(歩合率10%と仮定)
156万円 × 10% = 15.6万円
この契約を、もし月に2件成立させることができれば、インセンティブだけで31.2万円になります。これに固定給が加わるわけですから、年収1000万円という数字が、ぐっと現実的に感じられてきませんか?
もちろん、毎月コンスタントに契約を上げるのは簡単なことではありません。ですが、自分の頑張りが、これだけ明確な数字になって返ってくるというのは、大きなモチベーションになりますよね。
「フルコミッション」という究極の実力主義
先ほどの表にも出てきた「フルコミッション」。これは、固定給が一切ない代わりに、成果に対する報酬が極めて大きい働き方です。
歩合率は会社によって異なりますが、なんと50%〜90%というところも。先ほどの例で言えば、156万円の仲介手数料に対して、78万円から140万円近くが、ご自身の収入になる計算です。これを年間で数件こなせば、年収1000万円どころか、数千万円、さらには「億」という単位も見えてきます。
私が知っている中でも、フルコミッションで年収1億円を超えている営業の方がいらっしゃいます。まさに、夢のある働き方ですよね。
ただし、これは裏を返せば、成果がなければ収入がゼロになるという、非常にシビアな世界でもあります。未経験からいきなり挑戦するのは、あまりお勧めできません。まずは固定給のある会社で実力をつけ、自信と人脈を築いてから、次のステップとして考えるのが賢明かもしれませんね。
注意:給与体系から会社の文化を読み解く
給与体系は、単なるお金の計算方法ではありません。それは、その会社が何を大切にしているか、社員にどう働いて欲しいかというメッセージの表れでもあるんです。
給与体系から読み取れる企業文化の傾向
- 歩合給の割合が高い会社
個人の成果を何よりも重視する文化です。営業同士がライバルとなり、競争の中で成長したい人に向いています。 - 固定給・賞与の割合が高い会社
チームワークや組織としての成果を重視する文化です。情報共有を密にし、協力しながら目標を達成したい人に向いています。大手企業に多い傾向があります。
どちらが良い、悪いということではありません。ご自身の性格や、仕事に求めるものがどちらに近いかを考えることが、入社後のミスマッチを防ぐ上でとても大切になります。面接の際には、給与体系についてしっかりと質問し、その背景にある会社の考え方まで探ってみることをお勧めします。
不動産営業で年収1000万円を稼ぐ人の5つの共通点
これまで、年収1000万円、あるいはそれ以上を稼ぎ出すトップセールスの方々に、数多くお会いしてきました。彼ら彼女たちを見ていると、職種や会社は違えど、いくつかの共通する思考や行動のパターンがあることに気づかされます。それは、決して特別な才能ではなく、意識と努力で身につけられるものばかりなんです。
共通点1:目標から逆算した「計数管理能力」を持っている
稼ぐ営業パーソンは、ただ闇雲に頑張るのではありません。「年収1000万円」というゴールから逆算して、今何をすべきかを常に数字で考えています。
トップセールスの頭の中(例)
- 年収1000万円(うち歩合で500万円)を稼ぐには…
- → 年間5,000万円の仲介手数料を会社にもたらす必要があるな。
- → そのためには、月に約420万円の手数料が必要だ。
- → 1件あたりの平均手数料が100万円だから、月に4〜5件の契約が必要だ。
- → 自分の契約率は商談数の20%だから、月に20〜25件の商談を設定しないと。
- → そのためには、1日に3〜4件のアポイント獲得が必要で…
このように、最終目標を日々の行動レベルにまで分解し、その進捗を自分で管理しています。感覚ではなく、数字で自分の仕事を捉えるこの能力が、安定した成果を生み出す土台になっているんですね。
共通点2:知識のアップデートを「習慣」にしている
不動産業界を取り巻く法律や税制、金融政策は、毎年のように変わります。トップセールスの方々は、こうした変化に非常に敏感で、常に最新の情報を学び続けています。
彼らにとって、宅建士の資格はスタートラインに過ぎません。ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザー、時には建築関連の知識まで、お客さまへの提案の幅を広げるための勉強を怠らないんです。
この「学び続ける姿勢」こそが、他の営業担当者との差別化を図り、「この人に任せたい」とお客さまに思わせる、信頼の源泉になっているのだと感じます。

共通点3:見た目も知識も「自己投資」を惜しまない
私が取材したトップセールスの方々は、皆さん一様に、身だしなみに気を遣い、清潔感と品がありました。ヨレヨレのスーツや汚れた靴で、数千万円の商談に臨む人はいません。
これは、単に着飾るということではなく、「自分という商品を、いかに信頼に足るものとして見せるか」という、プロ意識の表れなんです。信頼感を演出するためのスーツや時計、髪型なども、彼らにとっては重要な「自己投資」の一つなんですね。
もちろん、外見だけでなく、セミナーに参加したり、高額な書籍を購入したりと、自身の知識やスキルを高めるための投資も惜しみません。こうした見えない努力の積み重ねが、大きな成果として返ってくることを知っているからです。
共通点4:「売り営業(仕入れ)」を制する者が市場を制す
不動産仲介の営業は、大きく「買い営業」と「売り営業」に分かれます。
- 買い営業:家を買いたいお客さまを見つけ、物件を提案する仕事。
- 売り営業:家を売りたいお客さまを見つけ、物件を預かる(媒介契約を結ぶ)仕事。
もちろん両方大切ですが、高収入を得ている営業パーソンの多くは、この「売り営業」、つまり物件の仕入れに非常に長けています。
なぜなら、「買いたい人」は広告を出せば集めやすいですが、「売却物件」という情報は、そう簡単には手に入らないからです。信頼関係を築き、「あなたに、うちの売却を任せます」と言ってもらうスキルが何より重要になります。
そして、魅力的な物件を預かることができれば、その物件を買いたいというお客さまは、自社だけでなく他社からも現れます。つまり、情報の源泉を握ることで、ビジネスの主導権を握ることができるのです。これが、高収入への一番の近道だと言えるかもしれません。
共通点5:社内外に「味方」を作るのがうまい
トップセールスと聞くと、一匹狼のようなイメージがあるかもしれませんが、実際にお会いした方々は、むしろ逆でした。社内外にたくさんの「味方」を作り、ネットワークを築くのが非常に上手なんです。
例えば、リフォーム会社や引越し業者、銀行のローン担当者、司法書士といった社外の専門家と良好な関係を築き、お客さまに紹介することで、付加価値の高いサービスを提供する。
社内では、事務スタッフに常に感謝を伝え、スムーズな業務進行に協力してもらったり、後輩に惜しみなくノウハウを教え、チーム全体の士気を高めたり。
自分一人の力には限界があることを知り、周りの力を借りながら、より大きな成果を出す。そうした謙虚さと人間的な魅力が、結果的に彼らをトップの座に押し上げているのだと感じます。
まとめ:不動産営業で年収1000万円が現実である理由の総括
今回は、不動産営業で年収1000万円を目指すための、具体的な仕組みと方法についてお話ししてきました。最後に、大切なポイントをもう一度、整理しておきましょう。
不動産営業で年収1000万円が現実である理由のまとめ
- 高収入の構造
高額な商品を扱い、成果がインセンティブとして直接報酬に反映される、年齢や性別に関係ない実力主義の業界だからです。 - 給与体系の理解
固定給と歩合給のバランスは会社によって様々です。フルコミッションなら億単位の収入も可能ですが、リスクも伴います。ご自身の志向に合った会社選びが何より重要です。 - 稼ぐ人の共通点
明確な目標設定と計数管理能力、継続的な学習習慣、自己投資の意識、そして「売り営業」のスキルと広い人脈を持っています。
不動産営業で年収1000万円を達成することは、一部の天才だけに許された特権ではありません。業界の仕組みを正しく理解し、目標達成のための正しい努力を、戦略的に積み重ねていくこと。
それができれば、誰にでも手が届く可能性のある、とても現実的な目標なんです。この記事が、あなたのキャリアを考える上での、一つの有益な情報となれば嬉しく思います。