きらきらと輝く日差しが心地よいゴールデンウィーク。旅行や帰省、趣味に没頭したりと、大型連休の計画を考えるだけで心が躍りますよね。でも、もし不動産営業に転職したら、そんな世間の楽しみとは無縁になってしまうのでしょうか…？
「サービス業だから、ゴールデンウィークなんて休めないのが当たり前」。そんなイメージから、不動産業界への一歩をためらっている方もいらっしゃるかもしれません。こんにちは。私は以前、不動産会社で営業として働き、現在は広報としてたくさんの営業の現場を見てきました。
その経験からお伝えできるのは、そのイメージは半分は本当で、でも半分は少し違う、ということなんです。実は、職種や会社の方針によって、その過ごし方は全く違います。この記事では、不動産営業のリアルなゴールデンウィーク事情と、その中で自分らしく働くためのヒントを、丁寧にご紹介していきますね。
この記事でお伝えしたいこと
- なぜ不動産営業はゴールデンウィークに休めないと言われるのか、その本当の理由
- 【職種別】天国と地獄？GWのリアルな休日事情を徹底比較！
- ゴールデンウィークに働くことの意外なメリットと賢い休み方
- 休みを重視する人が知っておくべき、後悔しない会社選びのポイント
- 自分らしいワークライフバランスを見つけるためのヒント
なぜ不動産営業はゴールデンウィークに休めないと言われるの？
まずはじめに、どうして「不動産営業＝ゴールデンウィークは仕事」というイメージが定着しているのでしょうか。それには、不動産業界ならではの、はっきりとした理由が3つあるんです。この背景を知ることで、ただ「休めない」と嘆くのではなく、業界の特性を冷静に理解することができますよ。
理由1：お客様が動く「最大の繁忙期」の一つだから
これが、何といっても一番の理由です。普段、お仕事で忙しいお客様にとって、ゴールデンウィークは、家族みんなでじっくりと家探しができる、またとないチャンスなんですね。
例えば、こんなお客様がいらっしゃいます。
- 共働きで、普段は夫婦の休みが合わないけれど、GWなら一緒にモデルルームを見に行けるご夫婦。
- お子さんの進学に合わせて家探しを考えていて、家族会議をする絶好の機会と捉えているご家族。
- 遠方に住むご両親に、購入を考えている家の相談をするために、帰省のタイミングで一緒に内見したい方。
このように、お客様の「買いたい」「見たい」という気持ちが、一年の中でも特に高まる時期なんです。だからこそ、私たち不動産営業にとっては、お客様の夢を叶えるための、最大の「腕の見せどころ」となるわけです。
理由2：会社をあげての「集客イベント」が目白押しだから
お客様が動く時期に合わせて、不動産会社側も、このチャンスを逃すまいと、会社をあげて様々なイベントを企画します。特に、新築マンションや戸建ての販売現場では、ゴールデンウィークは一大イベント期間なんです。
モデルルームや分譲地では、こんな光景がよく見られます。
- お子様が楽しめるように、キャラクターショーや縁日、風船プレゼントなどを開催。
- 住宅ローンの専門家を招いた、無料の資金計画相談会。
- 「GW限定！ご成約で最新家電プレゼント！」といった、特別なキャンペーンの実施。
こうしたイベントを成功させるためには、たくさんの営業スタッフの力が必要です。ですから、会社の方針として、ゴールデンウィークは原則出勤となるケースが非常に多いんですね。
理由3：成果主義と「絶好の稼ぎ時」という意識
不動産営業の多くは、成果が給与に直結するインセンティブ（歩合給）制度を取り入れています。つまり、契約をいただければ、その分お給料も増える、という仕組みです。
お客様がたくさんいらっしゃるゴールデンウィークは、言い換えれば「一年で最も成果を上げやすい時期」の一つ。意欲の高い営業マンにとっては、「休んでいる場合じゃない！絶好の稼ぎ時だ！」という意識が強く働きます。
「みんなが休んでいる時に働くからこそ、大きな成果が得られる」。このプロ意識とハングリー精神が、不動産営業という仕事のダイナミズムを生んでいる側面もあるんです。もちろん、全員がそうというわけではありませんが、こうした文化があることも知っておくと良いかもしれません。
【職種別】不動産営業のゴールデンウィーク休日事情を徹底比較！
ゴールデンウィークが不動産業界にとって特別な時期であることは、お分かりいただけたかと思います。でも、実は「不動産営業」と一括りにはできず、扱う物件やお客様によって、その忙しさや休日の実態は大きく異なるんです。ここでは、代表的な4つの職種について、リアルなGW事情を比較してみましょう。
【新築販売（マンション・戸建て）】GWは年間最大級の繁忙期！
休日取得の難易度：★★★★★（ほぼ休めない）
ゴールデンウィークが最も「かき入れ時」となるのが、新築マンションのモデルルームや、新築戸建ての分譲地で働く営業です。先ほどお話ししたように、会社をあげての集客イベントが開催されるため、チーム全員でこの期間を乗り切る、という意識が非常に強いです。まさに、お祭りのような賑わいと忙しさなんですよ。
GW期間中の働き方
朝から晩まで、ひっきりなしに来場されるお客様の対応に追われます。家族連れの方が多いため、お子様の相手をしながら、ご夫婦に物件の魅力を伝えるといった、高度なコミュニケーション能力も求められます。
ある若手の営業さんは、こんな風に話していました。
「GW期間中は、正直、お昼ごはんを食べる時間もないくらい忙しいです。でも、たくさんのご家族の楽しそうな笑顔を見ていると、疲れも吹き飛びますね。『この家族の夢を、絶対に叶えたい！』って、自然と力が入るんです」
チームで一丸となって大きな目標に向かうので、文化祭のような一体感と、目標を達成した時の大きな喜びを味わえるのが、この仕事の魅力です。その代わり、この期間に個人的な休みを取ることは、かなり難しいと考えた方が良いでしょう。
【売買仲介】お客様の予定に合わせた柔軟な対応が必須
休日取得の難易度：★★★★☆（休みは調整次第だが、多忙）
中古マンションや一戸建てを扱う売買仲介の営業も、ゴールデンウィークは非常に忙しくなります。新築販売のように決まったイベントはありませんが、お客様一人ひとりのご都合に合わせて、スケジュールが埋まっていくイメージです。
GW期間中の働き方
「連休を利用して、じっくり物件を見て回りたい」というお客様からの、内見の予約がたくさん入ります。1日に何組ものお客様を、複数の物件にご案内することも珍しくありません。また、売主様と買主様の間の価格交渉や、契約に向けた手続きなども、この期間に集中することがあります。
自分の裁量でスケジュールを組める自由度はありますが、お客様の都合が最優先になります。そのため、カレンダーの上では休みになっていても、お客様からの連絡に対応したり、急なご案内が入ったりすることも。完全に仕事を忘れてリフレッシュ、というのは少し難しいかもしれません。
【賃貸仲介】繁忙期のラストスパート！
休日取得の難易度：★★★☆☆（比較的、調整しやすい）
アパートやマンションの賃貸物件を紹介する営業は、1月から3月が年間で最大の繁忙期です。ゴールデンウィークは、その繁忙期の終盤戦、あるいは落ち着きを取り戻し始める時期、という位置づけになります。
GW期間中の働き方
もちろん、連休を利用してお部屋探しをするお客様はいらっしゃいますので、店舗は営業していることがほとんどです。ですが、3月までの怒涛の忙しさに比べると、少し落ち着いていることが多いんですね。
そのため、スタッフ間で調整して、交代で休みを取ったり、連休の後半に休みをまとめたりと、他の職種に比べると、比較的柔軟に休日を調整しやすい傾向にあります。会社の規模や店舗の方針にもよりますが、「GWは絶対に休めない」という雰囲気は、少し和らぐかもしれません。
【用地仕入れ・法人営業】カレンダー通りに休める優等生
休日取得の難易度：★☆☆☆☆（ほぼカレンダー通り）
これまでご紹介した3つの職種とは、全く休日事情が異なるのがこのタイプです。用地仕入れはマンションなどを建てる土地を地主さんから仕入れる仕事、法人営業は企業向けにオフィスビルや店舗などを仲介する仕事です。
GW期間中の働き方
彼らが主に取引をする相手は、地主さんや、一般企業の担当者、そして役所の方々です。こうしたお相手は、基本的にカレンダー通りにお休みになります。そのため、彼ら不動産営業も、必然的にゴールデンウィークは大型連休となるケースがほとんどなんです。
同じ「不動産営業」という名前でも、BtoC（個人向け）か、BtoB（法人向け）かで、働き方や休日のあり方がこんなにも違うんですね。もし、世間と同じように大型連休を取りたい、という希望が強いのであれば、こうした法人向けの営業職を視野に入れてみるのも、一つの方法ですよ。
休みを重視するあなたへ。後悔しない会社選びと働き方のヒント
ここまで、不動産営業のリアルなゴールデンウィーク事情をお話ししてきました。その上で、「やっぱり、自分はプライベートの時間や、家族と過ごす休日も大切にしたいな」と感じた方もいらっしゃると思います。それは、とても自然で、大切な価値観です。ここでは、そんなあなたが後悔しないために、会社選びの段階でできることや、働き方のヒントをお伝えしますね。
ヒント1：求人情報で「長期休暇」の記載をしっかり確認する
まず、基本中の基本ですが、求人情報を見る際に、休日に関する項目を注意深くチェックしましょう。「年間休日120日以上」「完全週休2日制」といった基本的な情報に加えて、こんなキーワードに注目してみてください。
- GW休暇あり
- 夏季休暇（お盆休み）
- 年末年始休暇
- リフレッシュ休暇制度
こうした記載が具体的にあれば、会社として長期休暇の取得を推奨している、一つの証拠になります。逆に、休日に関する情報が曖昧だったり、年間休日が極端に少なかったりする会社は、少し注意が必要かもしれません。
厚生労働省も、働き方改革の一環として休暇の取得を推進しています。企業の姿勢を測る一つの指標として、「働き方・休み方改善ポータルサイト」のような公的な情報に目を通しておくのも、視野が広がって良いかもしれませんね。
ヒント2：面接で「休日の実態」について質問する勇気
求人情報だけでは分からない、リアルな実態を知るためには、やはり直接聞くのが一番です。面接の場で、休日について質問するのは、「仕事への意欲が低いと思われるんじゃないか…」と、少し勇気がいるかもしれません。でも、大丈夫です。
聞き方を少し工夫すれば、あなたの働く意欲と、ライフプランを大切にする真摯な姿勢の両方を伝えることができます。
【質問の例文】
「長く御社で貢献していきたいと考えておりますので、ワークライフバランスについても具体的にお伺いできれば幸いです。社員の皆様は、ゴールデンウィークやお盆休みなどは、どのように過ごされたり、休暇を取得されたりしているのでしょうか？」
このように、前向きな言葉を添えて質問することで、面接官も誠実に答えてくれるはずです。その時の答え方や表情からも、その会社の本当の雰囲気が見えてくるものですよ。
ヒント3：「平日休み」のメリットに目を向けてみる
もし、あなたがゴールデンウィークに出勤する職種を選んだとしても、落ち込む必要は全くありません。不動産営業の多くは、平日に休みを取ることになりますが、この「平日休み」には、実はたくさんのメリットがあるんです。
- どこへ行っても空いている！：人気のテーマパークや映画館、話題のレストランも、土日の混雑が嘘のよう。ゆったりと満喫できます。
- 旅行代金が断然お得！：航空券やホテルの宿泊費は、平日出発の方が格段に安くなります。同じ予算で、もっと豪華な旅ができてしまうかもしれません。
- 役所や銀行の手続きがスムーズ：平日にしか開いていない役所や銀行の窓口に、わざわざ有給を取らなくても行けるのは、本当に便利です。
世間の「当たり前」とは少し違うリズムで生活することの豊かさに目を向けてみると、不動産営業という仕事が、また違った魅力を持って見えてくるかもしれません。
ヒント4：振替休日や長期休暇制度を賢く活用する
ゴールデンウィークに働いた分、その代休をきちんと取得できる「振替休日制度」が整っているかどうかも、とても大切なポイントです。しっかりした会社であれば、この制度がきちんと運用されています。
私が知っている営業さんの中には、こんな賢い働き方をしている方もいました。
「GWは全力で働いて、しっかりと成果を出します。そして、その分の振替休日を、世間が仕事モードに戻った5月後半や6月にまとめて取得して、1週間の海外旅行に行くのが毎年のご褒美なんです。空港も観光地も空いていて、最高ですよ！」
このように、オンとオフのメリハリを自分でコントロールし、人生を豊かにする。そんな働き方ができるのも、この仕事の醍醐味の一つなんですね。
ヒント5：何よりも大切なのは、自分の「ライフプラン」と向き合うこと
最後に、一番お伝えしたいことです。どんな働き方が「正解」ということはありません。バリバリ働いて高収入を目指す時期もあれば、家族との時間を何よりも大切にしたい時期もあるでしょう。
大切なのは、今の自分、そしてこれからの自分が、どんな人生を送りたいのか、どんな働き方をしたいのか、というご自身の価値観としっかり向き合うことです。その上で、不動産業界の様々な職種や会社の中から、ご自身のライフプランに合った場所を選んでいく。それが、後悔しない転職への、一番の近道だと私は思います。
まとめ：不動産営業のゴールデンウィーク事情と自分らしい働き方の見つけ方
今回は、不動産営業のゴールデンウィーク事情という、少し踏み込んだテーマでお話しさせていただきました。最後に、この記事のポイントをまとめますね。
- 不動産営業がゴールデンウィークに休めないと言われるのは、お客様が最も活発に動く「繁忙期」であり、会社にとっても絶好の「かき入れ時」だからです。
- ただし、すべての職種が同じではありません。新築販売や売買仲介は多忙を極める一方、賃貸仲介は比較的調整しやすく、法人向けの営業はカレンダー通りに休めることが多いです。
- GWに働くことには、成果を出しやすいというメリットがあり、その代わりに「平日休み」を満喫したり、振替休日で賢く長期休暇を取ったりするという働き方があります。
- 休みを重視する場合は、求人情報のチェックや面接での質問を通じて、会社の休日に対する姿勢をしっかりと見極めることが大切です。
- 最も重要なのは、ご自身のライフプランと向き合い、多様な働き方の中から、自分にとってベストなバランスを見つけることです。
不動産営業は、世間の休日に働くことも多い、少し特別な仕事かもしれません。でも、だからこそ得られる大きなやりがいや、ユニークなライフスタイルがあります。この記事が、あなたが固定観念にとらわれず、自分らしいキャリアを描くための、一つのきっかけになれたなら、これほど嬉しいことはありません。
