こんにちは。「不動産営業はインセンティブで稼げる」という話は、よく耳にしますよね。でも、その「インセンティブ」が、一体どのくらいの「割合」で貰えるものなのか、具体的な数字は少し分かりにくいかもしれません。
「歩合率が高い会社の方が、絶対にお得なの?」「割合の相場って、どのくらいなんだろう?」そんな風に、首をかしげている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、このインセンティブの割合というのは、会社の方針や給与体系によって、本当に様々なんです。この違いを知らずに会社を選んでしまうと、入社後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうかもしれません。
この記事では、私が広報として350人以上の不動産のプロに取材してきた経験から、不動産営業のインセンティブ割合のリアルな相場から、給与パターン別の違い、そして割合が高い会社の光と影まで、具体的な数字を交えながら、丁寧に解説していきますね。
この記事でお伝えしたいこと
- 不動産営業のインセンティブ割合のリアルな相場
- 給与体系パターン別のインセンティブ割合の違いを徹底比較
- インセンティブ割合が高い会社のメリットとデメリット
- 割合という数字だけで会社を選んではいけない理由
ズバリお答えします!不動産営業のインセンティブ割合のリアルな相場とは?
それでは早速、皆さんが一番知りたいであろう、インセンティブ割合の「相場」からお話ししますね。一言で言うと、不動産営業、特に売買仲介の世界では、会社に入る仲介手数料のうち、5%〜20%が個人のインセンティブになるというのが、一つの目安になります。
なぜ、インセンティブの割合にこれほどの幅があるの?
「5%と20%では、全然違うじゃないか」と思われたかもしれませんね。おっしゃる通り、この差はとても大きいんです。この割合の違いが生まれる背景には、それぞれの会社の「利益構造」や「営業戦略」が関係しています。
会社は、お客さまから頂いた仲介手数料の中から、広告宣伝費や事務所の家賃、そして社員の固定給といった、様々な経費を支払わなければなりません。
- 広告宣伝に力を入れている会社:集客力が高い分、経費がかさむため、インセンティブ割合は低めになる傾向があります。
- 個人の営業力に頼るスタイルの会社:広告費などを抑える代わりに、営業担当者に高いインセンティブを支払うことで、モチベーションを引き出します。
このように、インセンティブの割合は、会社のビジネスモデルを映す鏡のようなものなんです。どちらが良い、悪いというわけではなく、会社がどこにお金をかけて、どうやって利益を出そうとしているかの違いなんですね。
【シミュレーション】インセンティブ割合で年収はこれだけ変わる!
この「割合」の違いが、ご自身の年収にどれほど大きな影響を与えるのか、具体的な数字で見てみましょう。ここでは、あなたが一年間で会社に1,500万円の仲介手数料の売上をもたらした、と仮定しますね。
【年間売上1,500万円の場合】インセンティブ割合による年収比較
インセンティブ割合 | あなたの年間インセンティブ額 | 固定給300万円と仮定した場合の年収 |
---|---|---|
5% の会社 | 1,500万円 × 5% = 75万円 | 375万円 |
10% の会社 | 1,500万円 × 10% = 150万円 | 450万円 |
15% の会社 | 1,500万円 × 15% = 225万円 | 525万円 |
20% の会社 | 1,500万円 × 20% = 300万円 | 600万円 |
いかがでしょうか。同じ成果を出しても、インセンティブの割合が違うだけで、年収にこれだけ大きな差が生まれるんです。この数字を見ると、会社選びの際にインセンティブの割合をしっかりと確認することが、いかに重要かお分かりいただけるかと思います。
給与体系パターン別!不動産営業のインセンティブ割合を徹底比較
先ほど「インセンティブの割合は会社によって様々」とお話ししましたが、それは給与体系の全体的な設計と深く関わっています。ここでは、代表的な給与体系のパターン別に、インセンティブ割合がどう変わるのかを、より詳しく見ていきましょう。
【安定+成果型】「固定給+歩合給」の場合のインセンティブ割合
これは、不動産業界で最もポピュラーな給与体系です。この場合のインセンティブ割合は、先ほどお話しした通り、5%〜20%程度が一般的です。
このパターンの中で、さらに傾向が分かれます。それは、固定給の金額とインセンティブ割合が、反比例する関係にあることが多い、ということです。
- 固定給が高めに設定されている会社
安定した生活基盤が保証される代わりに、インセンティブ割合は5%〜10%程度と、やや低めに設定されていることが多いです。 - 固定給が低めに設定されている会社
月々の安定収入は少なめですが、その分インセンティブ割合が15%〜20%以上と高く設定され、成果を出せば大きく稼げるようになっています。
ご自身が「安定」と「成果」のどちらをより重視するかによって、どちらのタイプの会社が合っているかが変わってきますね。
【安定重視型】「固定給+賞与」の場合のインセンティブ割合
大手企業や、チームでの営業を重視する会社に増えているのが、このタイプです。この場合、毎月の給与に直接的な「歩合給」が上乗せされることはなく、個人の営業成績が、主に年2回などの賞与(ボーナス)の査定に反映されます。
「じゃあ、インセンティブ割合はゼロなの?」というと、少し違います。賞与の査定ロジックは会社によって様々ですが、個人の年間売上実績の数%〜10%程度が、賞与の評価額に加算される、といったイメージです。
月々の収入の変動がないため、非常に安定しているのがメリットですが、個人の大きな成果がすぐに収入に反映されにくい、という側面もあります。組織の一員として、腰を据えて働きたいという方に向いているかもしれません。

【究極の成果主義】「フルコミッション」の場合のインセンティブ割合
そして、不動産営業のインセンティブ制度を語る上で欠かせないのが、この「フルコミッション(完全歩合制)」です。
これは、固定給が一切ない代わりに、インセンティブの割合が驚くほど高く設定されている働き方です。その割合は、なんと仲介手数料の50%〜90%にも上ります。
なぜ、こんなに高い割合が可能なのか。それは、フルコミッションの営業は、会社の正社員ではなく「個人事業主」として業務委託契約を結ぶことが多く、会社側は社会保険料などを負担する必要がないからです。また、広告費などの営業経費も自己負担となるケースが多いため、会社のリスクが少ない分、高い報酬を支払えるんですね。
年収数千万円、中には1億円を超えるプレーヤーも、この世界には存在します。まさに、究極の実力主義と言えるでしょう。ただし、成果が出なければ収入がゼロになるという、大きなリスクも背負うことになります。
インセンティブ割合が高い会社のメリット・デメリットと注意点
ここまでのお話を聞いて、「それなら、やっぱりインセンティブの割合が高い会社を目指すべきだ!」と思われたかもしれません。確かに、高い割合には大きな魅力がありますが、その裏側にあるデメリットや注意点もしっかりと理解しておくことが、後悔しない会社選びには不可欠です。
メリット:青天井の収入と、自分の実力で稼ぐという強い実感
インセンティブ割合が高い会社の最大のメリットは、やはり「青天井の収入」を目指せることです。あなたの頑張りが、他のどんな会社よりもダイレクトに、そして大きな金額となって返ってきます。
一件の大きな契約が、月収100万円、200万円になることも珍しくありません。20代で年収1000万円を超え、高級車に乗ったり、都心のタワーマンションに住んだり、といった夢のような生活を、現実にしている人たちがいる世界です。
この「自分の実力一つで、人生を変えられる」という強い実感は、何物にも代えがたいモチベーションになるでしょう。

デメリット:収入の不安定さと、常に数字に追われる強いプレッシャー
一方で、光が強ければ、影もまた濃くなります。高いインセンティブ割合は、低い固定給とセットになっていることがほとんどです。
これはつまり、成果が出なければ、月々の収入が生活していくのも困難なほど低くなってしまうリスクがある、ということです。特に、不動産取引は常にうまくいくとは限りません。市況の変化や、予期せぬトラブルで、契約が流れてしまうこともあります。
そうした状況でも、会社はあなたに常に「数字」を求めます。「成果を出さなければ、ここにいる意味がない」という、強いプレッシャーに常に晒されることになるかもしれません。この厳しさに耐えうる、強靭な精神力が求められるんですね。
注意点:「割合」の数字だけに騙されないで!確認すべき3つのこと
求人票に書かれた「歩合率〇〇%!」という魅力的な数字だけに目を奪われてはいけません。その数字の裏に隠された、重要な条件を必ず確認するようにしてください。
インセンティブ割合で会社を選ぶ際のチェックリスト
- インセンティブの「計算対象」は何か?
「売上」に対してなのか、「粗利」に対してなのかは、とても重要です。特に、物件を一度会社で買い取ってから再販売する「買取再販」事業などでは、粗利計算となることが多く、単純な売上計算よりもインセンティブ額は少なくなります。 - インセンティブの「支給条件(ノルマ)」は何か?
「月に〇〇円以上の売上を達成した場合のみ支給」といった、足切りラインが設けられていないか、その基準は現実的なのかを確認しましょう。 - 「固定給」とのバランスは適切か?
インセンティブ割合が高くても、固定給があまりに低いと、生活が成り立ちません。ご自身の最低限必要な生活費を考え、固定給だけでそれが賄えるかを、冷静に判断することが大切です。
これらの点は、面接の場でしっかりと質問すべき、あなたの正当な権利です。誠実な会社であれば、きちんと答えてくれるはずですよ。

まとめ:不動産営業のインセンティブ割合が、会社によって大きく異なる理由
今回は、不動産営業のインセンティブ割合について、そのリアルな数字や、給与体系ごとの違い、そして会社選びの注意点についてお話ししてきました。最後に、大切なポイントをもう一度、振り返っておきましょう。
不動産営業のインセンティブ割合が、会社によって大きく異なる理由のまとめ
- 割合の相場
売買仲介の場合、仲介手数料の5%〜20%が一般的です。フルコミッションの場合は50%以上になることもありますが、これは会社の利益構造や営業戦略の違いによります。 - 給与体系との関係
固定給が高い会社は割合が低め、固定給が低い会社は割合が高めになる傾向があります。ご自身が安定と成果のどちらを重視するかで、選ぶべき会社は変わります。 - 割合が高い会社のリスク
青天井の収入という大きな魅力の裏には、収入の不安定さや強いプレッシャーというデメリットも存在します。 - 会社選びの注意点
「割合」という数字だけでなく、その計算対象や支給条件、そして固定給とのバランスを、総合的に見極めることが何よりも重要です。
インセンティブの割合は、あなたの働き方や人生設計に、とても大きな影響を与えます。ただ高い割合を求めるのではなく、その数字の背景にあるものをきちんと理解し、ご自身の価値観や目標に本当に合った会社を選ぶこと。
それが、この業界で長く、そして豊かに活躍していくための、一番の近道なのかもしれませんね。