「不動産営業って、頑張ればすごく稼げるらしいけど、それって本当なのかな?」「自分にも、高いお給料を目指せるんだろうか…」そんな風に、期待と少しの不安が入り混じった気持ちで、このページを開いてくださったのかもしれませんね。
こんにちは。以前は不動産会社で営業を、そして今は広報としてたくさんの営業スタッフに取材をしている私から見ても、「不動産営業は稼げる」というのは、半分は本当で、半分は少し違う、というのが正直なところなんです。
ただやみくもに働くだけでは、残念ながら「稼げる営業」にはなれません。でも、正しい知識と戦略を持って臨めば、年齢や経験に関係なく、大きな収入を得られる可能性に満ちているのも、またこのお仕事の素晴らしいところなんですよね。
この記事では、不動産営業のリアルな収入事情から、実際に「稼げる人」になるための具体的なステップまで、私がこれまでに見聞きしてきた情報を基に、一つひとつ丁寧にお話ししていきたいと思います。
この記事でお伝えしたいこと
- 不動産営業のリアルな年収と給与の仕組み
- 「稼げる人」と「稼げない人」の決定的な違い
- 年収アップを実現するための具体的な8つのステップ
- 収入だけじゃない、不動産営業で得られる本当の価値
不動産営業は本当に稼げる?気になる年収の実態
まず皆さんが一番気になっている、「不動産営業は本当に稼げるの?」という疑問に、正面からお答えしたいと思います。結論から申し上げますと、「やり方次第で、他の業界では考えられないほど稼げる可能性のあるお仕事」というのが、私の答えです。
では、その「やり方」とは何なのか、そしてリアルな数字はどのくらいなのか、詳しく見ていきましょう。
不動産営業の平均年収と収入のカラクリ
まず、客観的なデータを見てみましょう。厚生労働省が発表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、「不動産業,物品賃貸業」の平均年収は、おおよそ540万円前後と計算できます(きまって支給する現金給与額385,800円×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額775,100円)。
「あれ?思ったより高くないかも」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。でも、これはあくまで平均値。この数字には、不動産営業の最大の特徴が隠されているんです。
その特徴とは、「基本給+インセンティブ(歩合給)」という給与体系です。これが、不動産営業が「稼げる」と言われる最大の理由なんですね。
インセンティブ(歩合給)とは?
ご自身が上げた売上(仲介手数料など)の成果に応じて、基本給とは別に支払われる報酬のことです。会社や契約内容によって割合は異なりますが、一般的には売上の10%~25%程度がインセンティブとして支給されることが多いようです。
例えば、こんな風に収入が変わってきます。
Aさん(月1件契約) | Bさん(成果なし) | |
---|---|---|
基本給 | 25万円 | 25万円 |
契約内容 | 5,000万円の物件を仲介 (仲介手数料3%と仮定) | なし |
会社の売上 | 150万円 | 0円 |
インセンティブ (売上の15%と仮定) | 22.5万円 | 0円 |
月収合計 | 47.5万円 | 25万円 |
このように、同じ基本給でも、成果を一つ上げるだけで月収が大きく変わることがお分かりいただけますでしょうか。これが毎月続けば、年収にはとてつもない差が生まれることになるんです。
なぜ年収に大きな差が生まれるのか?
年収が数千万円を超えるトップ営業マンがいる一方で、残念ながら平均年収に届かない営業マンもいるのが現実です。この差は、どこから生まれてくるのでしょうか。
理由はいくつか考えられます。
- 個人の営業成績の差:これが最も大きな理由です。安定して契約を取り続けられるかどうかが、収入に直結します。
- 扱う物件の単価:都心の高額マンションを扱う営業と、郊外のアパートを扱う営業では、一件あたりの仲介手数料が大きく異なります。
- インセンティブ率の違い:会社によって、インセンティブの割合は様々です。基本給は低いけれどインセンティブ率が高い「フルコミッション制」に近い会社もあれば、基本給が安定している分、インセンティブ率は控えめな会社もあります。
つまり、個人の能力だけでなく、どの市場で、どんな条件の会社で働くかという選択も、収入を大きく左右する重要な要素になるんですね。
リアルな声:トップ営業はどれくらい稼げる?
私がこれまで取材してきた中には、本当に驚くような収入を得ている方々がたくさんいらっしゃいました。
例えば、入社3年目の20代半ばで年収1,500万円を超えた方や、30代で高級外車を何台も乗りこなし、年収が3,000万円を下回ったことがないという方もいらっしゃいました。
もちろん、これは誰もが到達できる領域ではありません。その裏側には、想像を絶する努力と、お客様からの厚い信頼があります。でも、年齢や学歴に関係なく、自分の力でそのステージを目指せるというのは、不動産営業というお仕事の、紛れもない事実であり、大きな夢だと思うんです。

不動産営業で稼げる人と稼げない人の決定的な違い
同じ会社で、同じ商品を扱っていても、なぜか収入に大きな差が生まれてしまう。それは、一体なぜなのでしょうか。私がたくさんの「稼げる営業マン」に取材してきて見えてきたのは、彼らに共通するいくつかの特徴でした。それは、才能というよりも、むしろ「考え方」や「習慣」の違いにあるように思います。
マインドセット:「お客様のため」が収入に繋がる
意外に思われるかもしれませんが、本当に稼いでいる営業マンほど、「自分が稼ぎたい」という気持ちを前面に出さないんです。彼らが何よりも大切にしているのは、「お客様の課題を解決し、幸せになってもらうこと」なんですね。
「このお客様は、なぜ家を探しているんだろう?」「このご家族にとって、本当に理想の暮らしとは何だろう?」
自分の利益ではなく、お客様の未来を真剣に考える。その誠実な姿勢が信頼を生み、お客様から「この人から買いたい」と思っていただける。その結果として、契約が生まれ、収入が後からついてくるんです。
逆に、「早く契約させて自分の成績にしたい」という気持ちが透けて見えると、お客様は敏感にそれを感じ取り、心を閉ざしてしまいます。「For you」の精神が、結果的に「For me」に繋がる。これが、稼げる営業の基本マインドなんです。
行動の質と量:稼げる営業は「考動」している
「稼ぐ人は行動量が違う」とよく言われますが、それは半分正解で半分は少し違います。もちろん、たくさん行動することは大切です。でも、もっと大切なのは、その行動の「質」なんです。
稼げる営業マンは、ただやみくもに電話をかけたり、チラシを配ったりはしません。一つひとつの行動に、必ず「目的」と「仮説」を持っています。
- 目的:この電話で何を得たいのか?(アポイント獲得?情報収集?)
- 仮説:このエリアのこの層には、どんなチラシが響くだろうか?
- 検証:思ったような反応が得られなかった。なぜだろう?次はどう改善しよう?
このように、常に考えながら動く。私はこれを「行動」ではなく「考動」と呼んでいます。この「考動」を繰り返し、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回し続けることで、行動の精度がどんどん高まっていくんですね。

スキルセット:信頼を勝ち取るための3つの力
高いマインドと質の高い行動を支えるのが、具体的なスキルです。特に、稼げる営業マンに共通していると感じる3つの力をご紹介しますね。
1. 徹底したヒアリング力
稼げる営業は、自分が話すよりも、お客様の話を聞くことの方に、ずっと多くの時間を使います。お客様が口にする言葉だけでなく、その裏にある潜在的なニーズや、まだ言葉になっていない不安を丁寧に引き出していくんです。
「お子様のために広いリビングが欲しいんですね。ちなみに、どんな風に過ごす時間を想像されていますか?」といった深掘りする質問を通じて、お客様自身も気づいていなかった本当の想いを一緒に見つけていきます。
2. 課題解決型の提案力
ヒアリングで引き出した課題に対して、的確な解決策を提示するのが提案力です。これは、ただ物件のスペックを説明するのとは全く違います。
例えば、「駅からの距離が少し遠い」というデメリットも、「その分、静かな住環境が手に入りますし、毎日のウォーキングは健康にも良いですよ。近くには素敵な公園もあります」というように、お客様の価値観に合わせて、デメリットをメリットに転換して伝えることができるんです。
3. 徹底した自己管理能力
インセンティブ制度は、成果が出れば青天井ですが、逆に言えば、誰も自分の尻を叩いてはくれません。だからこそ、自分自身を律する「自己管理能力」が何よりも重要になります。
日々のスケジュール管理はもちろん、成果が出ない時でも落ち込みすぎないメンタルの管理、そして資本である体の健康管理。この3つを高いレベルで維持できる人こそが、長期的に安定して稼ぎ続けることができるんです。
収入アップを実現!不動産営業で稼げるようになる8つのステップ
では、具体的にどうすれば「稼げる営業」になれるのでしょうか。ここからは、明日からでも始められる、収入アップのための具体的な8つのステップを、私の取材経験を交えながらお話しします。これは、稼いでいる先輩方が、ごく自然に実践されていることばかりなんですよ。
ステップ1:稼げる環境を選ぶ(会社選び)
どんなに優れた能力を持っていても、環境が合っていなければ、その力を十分に発揮することはできません。「稼げる会社」を選ぶことは、収入アップの第一歩として、とても重要です。
見るべきポイントは、いくつかあります。
- インセンティブ率:自分の頑張りがどれだけ収入に反映されるか。面接などで率直に質問してみるのも良いでしょう。
- 集客力:会社としてどれだけお客様を集める仕組みがあるか。反響営業(問い合わせ対応)が中心か、自分で顧客開拓をする必要があるか。
- 教育・研修制度:未経験からでも稼げるようになるための、しっかりとした研修プログラムが用意されているか。
- 扱う物件:高単価の物件を扱っているか、自分の興味のある分野(例:タワーマンション、投資用物件など)を扱っているか。
ご自身の性格やキャリアプランに合わせて、最適な環境を選ぶことが、最高のスタートダッシュに繋がります。
ステップ2:明確な目標を設定する
「稼ぎたい」と漠然と思っているだけでは、日々の行動は変わりません。大切なのは、具体的で、測定可能で、達成可能な目標を設定することです。
「1年後に年収1,000万円を達成する!」という大きな目標を立てたら、それを分解していきます。
年収1,000万円 → 月収約83万円 → 月に60万円のインセンティブが必要 → そのためには、月に〇〇円の売上(仲介手数料)を上げる → そのためには、月に〇件の契約が必要 → そのためには、週に〇件の商談が必要 → そのためには、1日に〇件の電話やアポイント獲得活動が必要…
このように、大きな目標を日々のタスクレベルまで落とし込むことで、「今日、何をすべきか」が明確になり、迷わずに行動できるようになるんです。
目標を紙に書き出して、毎日見える場所に貼っておくのも、とても効果的なんですよ。常に目標を意識することで、モチベーションを維持しやすくなります。
ステップ3:「宅地建物取引士」の資格を取得する
不動産営業で本気で稼ぎたいなら、宅地建物取引士(宅建士)の資格は、必須と言っても過言ではありません。資格があることで、収入に直結するたくさんのメリットがあるんです。
- 信頼性の向上:お客様からの信頼度が格段に上がります。「専門家」として見てもらえるようになります。
- 独占業務ができる:重要事項の説明や契約書への記名押印は、宅建士にしかできません。自分で契約を完結できるため、仕事の幅が広がります。
- 資格手当がつく:多くの会社では、月に2~5万円程度の資格手当が支給されます。これだけで年収が24~60万円アップする計算になりますね。
忙しい業務と並行しての勉強は大変ですが、それに見合うだけの、いえ、それ以上のリターンが必ずある、最高の自己投資です。

ステップ4:ロールモデルを見つけて徹底的に真似る
最も早く成長する方法は、すでに成功している人のやり方を真似ることです。社内にいるトップ営業マンを、ぜひあなたの「ロールモデル」にしてみてください。
そして、その人の一挙手一投足を、徹底的に観察し、真似てみるんです(これをTTP、「徹底的にパクる」と呼ぶ人もいます)。
- 電話での話し方は?
- お客様へのメールの文面は?
- どんなタイミングで、どんな提案をしている?
- 時間の使い方はどうなっている?
最初は猿真似でも構いません。続けていくうちに、「なぜこの人はこうするんだろう?」という理由が見えてきて、それが徐々にあなた自身のスキルとして血肉になっていきます。プライドは一旦横に置いて、素直に学ぶ姿勢が、成長の近道なんですよ。
ステップ5:専門知識を常にアップデートする
不動産に関する法律や税制、住宅ローンの金利などは、常に変化しています。お客様は、あなたを「プロ」として頼ってくださいます。その期待に応えるためには、常に最新の情報を学び続ける姿勢が欠かせません。
専門書を読む、セミナーに参加する、地域の再開発情報をチェックするなど、知識への投資を惜しまないでください。その知識の引き出しの多さが、他の営業マンとの決定的な差別化になり、お客様からの信頼に繋がります。
ステップ6:お客様を「ファン」にするコミュニケーション
稼ぎ続ける営業マンは、契約を取って終わり、にはしません。むしろ、ご契約後からが本当のお付き合いの始まりだと考えています。
定期的に近況を伺う連絡をしたり、お誕生日や記念日にお手紙を送ったり。そうした細やかなアフターフォローを通じて、お客様との関係を深めていくんです。
そうすると、お客様はあなたの「ファン」になってくださいます。そして、「友人が家を探しているんだけど、〇〇さんを紹介してもいい?」といった形で、新しいお客様を連れてきてくださるようになるんです。この「紹介」の連鎖が生まれ始めると、営業活動は驚くほど楽になり、安定して高い成果を上げ続けることができるようになります。
ステップ7:自分だけの「得意分野」を作る
「〇〇のことなら、あの人に聞けば間違いない」と言われるような、自分だけの「得意分野」を作りましょう。オールラウンダーを目指すのも良いですが、何か一つ、誰にも負けない専門性を持つことで、あなたの価値は飛躍的に高まります。
- タワーマンション専門
- 単身女性向けの物件専門
- 相続案件に強い
- リノベーション提案が得意
- 特定のエリアのスペシャリスト
どんなことでも構いません。ご自身の興味や強みを活かせる分野を見つけ、そこを深く掘り下げることで、あなたを指名してくださるお客様が必ず現れます。
ステップ8:失敗から学び、改善を続ける
最後に、とても大切なことをお伝えします。それは、失敗を恐れないこと、そして失敗から学ぶことです。
不動産営業に、失注(契約に至らないこと)はつきものです。どんなトップ営業でも、百発百中ではありません。大切なのは、失注した時に落ち込むのではなく、「なぜ今回はご契約いただけなかったのだろう?」と冷静に原因を分析し、次に活かすことです。
契約にならなかった案件こそ、自分を成長させてくれる最高の教科書だ。(あるトップセールスの方の言葉)
提案内容が良くなかったのか、タイミングが悪かったのか、それとも信頼関係の構築が不十分だったのか。その一つひとつの「なぜ?」が、あなたをより強く、より稼げる営業マンへと成長させてくれるはずです。

不動産営業で「稼げる」ようになるための理由まとめ
ここまで、不動産営業で本当に稼げるのか、そして収入をアップさせるための具体的な方法についてお話ししてきました。最後に、この記事の要点をまとめておきましょう。
- 不動産営業の収入は青天井:給与体系は「基本給+インセンティブ」が基本。ご自身の成果次第で、年齢や経験に関係なく高い収入を目指せるのが最大の魅力です。
- 稼げるかは「あなた次第」:平均年収という数字はありますが、それ以上に個人差が大きいのがこの業界。稼げる人と稼げない人の差は、マインドや行動の質、スキルにあります。
- 稼ぐための王道は「お客様のため」:自分の利益よりも、お客様の課題解決を優先する「For you」の精神が、結果的に信頼と収入に繋がります。
- 稼ぐには「戦略」が必要:環境選びから目標設定、スキルの習得、そしてお客様との関係構築まで、この記事でご紹介した8つのステップを一つひとつ実践することが、収入アップへの確実な道筋です。
不動産営業として高い収入を得ることは、決して楽な道のりではありません。でも、そこには確かな方法論があり、正しい努力を続ければ、必ず道は開けます。
そして、高い収入以上に、お客様の人生の大きな節目に立ち会い、「ありがとう」と心から感謝される喜びは、何物にも代えがたい、この仕事ならではの素晴らしい報酬です。
この記事が、あなたの挑戦を後押しする、小さな光となれたなら、とても嬉しく思います。