不動産営業、月何件で一人前?元営業が教える目標達成の7つの秘訣

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「不動産営業って、一体月に何件くらい契約するものなんだろう?」「トップ営業マンは、毎月何十件も契約しているのかな…?」

不動産業界に興味を持つと、まず最初に浮かんでくるのが、そんな素朴な疑問かもしれませんね。キラキラして見える先輩たちが、どれくらいの成果を上げているのか、気になってしまうお気持ち、とてもよく分かります。

でも、この「月に何件?」という問いは、実はとっても奥が深いんです。なぜなら、扱う物件の種類や、会社のビジネスモデルによって、その答えは全く違ってくるからなんですよ。

この記事では、不動産営業のリアルな契約件数の目安から、安定して目標を達成し続けるための具体的な戦略まで、私がこれまでに見聞きしてきた情報を基に、一つひとつ丁寧に紐解いていきたいと思います。この数字のカラクリが分かれば、あなたの目標設定も、きっとより明確になるはずです。

この記事でお伝えしたいこと

  • 【業務別】不動産営業のリアルな月間契約件数の目安
  • 「一人前」と言われる営業は、月に何件契約しているのか?
  • 契約件数だけじゃない!年収を左右する本当の要素とは
  • 安定して月間目標を達成するための、7つの具体的な戦略

不動産営業のリアルな契約件数|「月何件」は業務で全く違う

まず、皆さんが一番知りたいであろう、この問いにお答えしますね。「不動産営業は、月に何件契約するのですか?」という質問への、一番正直な答え。それは、「扱う業務によって、10倍以上の差が出ます」ということなんです。

不動産営業と一言で言っても、お客様のお家を売買する「売買仲介」と、アパートやマンションをお貸しする「賃貸仲介」では、ビジネスモデルが全く異なります。まずは、この違いをしっかりと理解することから始めましょう。

売買仲介の場合:月1件の契約が、とてつもなく大きな価値を持つ

マンションや一戸建てといった、お客様の「マイホーム」の売買をお手伝いする売買仲介。このお仕事では、「月に1件」の契約をコンスタントに取ることが、多くの営業マンにとって最初の大きな目標になります。

「え、たった1件でいいの?」と、少し意外に思われたかもしれませんね。でも、これにはちゃんとした理由があるんです。

  • 扱う金額が大きい:一件の取引で、数千万円、時には億を超えるお金が動きます。そのため、一件の契約から会社が得られる仲介手数料も、数百万円単位と非常に大きくなります。
  • お客様の検討期間が長い:お客様にとって、まさに一生を左右する大きなお買い物です。簡単に「買います」とはなりませんよね。何か月も、時には1年以上かけて、じっくりと検討されるのが普通です。

こうした背景から、売買仲介は「数」よりも「質」が求められる世界なんです。たった一件の契約でも、そこから得られるインセンティブは数十万円になることも珍しくありません。ですから、毎月コンスタントに1件の契約を上げ続けることができれば、それだけで十分に「一人前の営業」として認められ、安定した高収入を得ることが可能なんですよ。

賃貸仲介の場合:数を重ねることが力になる

一方、学生さんや社会人の方がお部屋を借りる際にお世話になるのが、賃貸仲介です。こちらは、売買仲介とは全く逆のビジネスモデルだと言えるかもしれません。

賃貸仲介では、閑散期で月に5件前後、繁忙期(1月~3月)には月に10件以上の契約を取ることも珍しくありません。

なぜ、これほど多くの契約が必要になるのでしょうか。

  • 扱う金額が小さい:会社が得られる仲介手数料は、お客様からいただく「家賃1ヶ月分+消費税」が基本です。一件あたりの利益が数万円~十数万円と、売買に比べて小さいんですね。
  • お客様の検討期間が短い:お引越しの時期が決まっていることが多く、良い物件はすぐに他の人に決まってしまうため、お客様もスピーディーに決断されます。

このように、一件あたりの利益が少ない分、たくさんの契約を積み重ねて売上を作っていくのが、賃貸仲介のスタイルです。スピード感と、多くのお客様を同時に対応するマルチタスク能力が求められる、まさに「数」が力になる世界なんですね。

「一人前」の定義とは?月何件稼げばいいの?

では、一体「月に何件」契約すれば、胸を張って「一人前」と言えるのでしょうか。これは、会社の方針や個人の目標によって様々ですが、一つの目安として、「自分の給料の3倍以上の粗利(会社の利益)を稼ぐ」という考え方があります。

例えば、あなたの基本給が30万円だとします。会社は、あなたのお給料以外にも、社会保険料やオフィスの家賃、広告費など、たくさんの経費を負担しています。それらを考慮すると、あなたが会社に貢献すべき粗利の目標は、大体90万円~100万円くらい、というのが一つの基準になるんですね。

【一人前の目安(粗利ベース)】
売買仲介の場合:5,000万円の物件(仲介手数料 約165万円)を仲介すれば、1件で目標達成できる計算になります。
賃貸仲介の場合:家賃10万円の物件(仲介手数料 11万円)を仲介する場合、約9件の契約が必要になる計算です。

こうして見ると、同じ「一人前」でも、業務によって求められる契約件数が全く違うことが、よくお分かりいただけるかと思います。


契約件数と年収のリアルな関係|「何件」稼げば年収1000万?

皆さんが気になるのは、やはり「で、結局いくら稼げるの?」という、年収との関係ですよね。契約件数は、もちろん年収を左右する大きな要素です。でも、実はそれ以上に、あなたの年収を決定づける、もっと大切な要素があるんですよ。

年収1000万円を達成するためのシミュレーション

それでは、多くのビジネスパーソンが憧れる「年収1,000万円」を達成するためには、一体どれくらいの契約が必要になるのか、売買仲介を例に少しシミュレーションしてみましょう。

【シミュレーション条件】
・あなたの目標年収:1,000万円
・基本給:年収400万円(月額 約33万円)
・インセンティブで稼ぐべき金額:600万円
・インセンティブ率:会社の粗利の20%
・会社の粗利で稼ぐべき金額:3,000万円(600万円 ÷ 20%)
・一件あたりの平均物件価格:5,000万円
・一件あたりの会社の粗利(仲介手数料):約165万円

この条件で計算すると、年間の目標粗利3,000万円を達成するために必要な契約件数は…
3,000万円 ÷ 165万円 = 約18.2件

ということになります。つまり、月に換算すると、1.5件ほどの契約をコンスタントに上げ続けることができれば、年収1,000万円という目標が現実のものになる、ということですね。

「件数」よりも「質」が収入を左右する真実

先ほどのシミュレーションで、何かお気づきになったことはありませんか?もし、あなたが扱う物件の平均価格が、5,000万円ではなく、その半分の2,500万円だったらどうなるでしょう。

一件あたりの粗利も半分(約82.5万円)になるため、年収1,000万円を達成するためには、2倍の件数、つまり年間約36件(月3件)の契約が必要になります。

逆に、もし平均価格が1億円だったら?一件あたりの粗利が約330万円になるので、必要な契約件数は年間約9件(月1件未満)で済んでしまうんです。

ここから分かるのは、年収を本当に左右するのは、単純な「契約件数」だけではない、ということです。むしろ、「一件あたりの契約の質(=単価)」が、あなたの収入を大きく決定づける、とても重要な要素なんですね。

会社選びが、あなたの「月何件」の目標を決める

この事実は、これから不動産業界を目指すあなたにとって、非常に重要な示唆を与えてくれます。それは、どの会社で働くかによって、あなたの「月何件」という目標設定も、そして稼げる年収の上限も、大きく変わってくるということです。

本気で高い収入を目指すのであれば、

  • 都心部など、高単価な物件を多く扱っている会社
  • 富裕層向けの物件や、投資用不動産に強みを持つ会社
  • そして、あなたの頑張りを正当に評価してくれる、高いインセンティブ率を設定している会社

といった視点で会社を選ぶことが、とても賢明な戦略になるんですよ。


月間目標を達成!契約が取れる営業の7つの秘訣

では、具体的にどうすれば、毎月の契約目標を安定して達成し、稼げる営業マンになることができるのでしょうか。それは、決して運や才能の問題ではありません。成果を出し続けている営業マンには、共通した「再現性のある戦略」があるんです。ここでは、その7つの秘訣を、あなたにだけこっそりお教えしますね。

契約を取るのに、何か特別な才能は必要ですか?
いいえ、そんなことはありませんよ。もちろん、人と話すのが好き、といった向き不向きは少しあるかもしれません。でも、それ以上に大切なのは、お客様のために正しい努力を続けられるかどうかです。これからお話しする7つの秘訣は、意識さえすれば誰でも実践できることばかりですから、安心してくださいね。

秘訣1:目標を「逆算」して、日々の行動に落とし込む

これが、目標達成の基本中の基本です。「今月は2件契約するぞ!」と、ただ漠然と意気込むだけでは、何をすれば良いか分からず、行動が続きません。

大切なのは、大きな目標から逆算して、「今日、何をすべきか」という具体的なタスクレベルまで分解することです。

【逆算思考の例】
目標:今月2件契約する

そのためには:商談を8件設定する必要がある(成約率25%と仮定)

そのためには:アポイントを16件取る必要がある(商談化率50%と仮定)

そのためには:見込み客に80件アプローチする必要がある(アポ獲得率20%と仮定)

つまり、1日あたり4件のアプローチ活動をすれば良い!

このように、日々の行動目標が明確になれば、迷うことなく、淡々とタスクをこなすことに集中できますよね。

秘訣2:時間管理を徹底し、生産性を最大化する

できる営業マンは、時間の使い方が本当に上手です。彼らは、自分の時間を「価値を生む活動」に集中させるため、徹底的に無駄を排除しています。

  • 移動時間やスキマ時間の活用:電車の中では経済ニュースをチェックし、お客様とのアポイントの合間にはメールを返信する。
  • 重要タスクの優先:一日の始まりに、最も重要なタスク(例:お客様への提案準備)から手をつける。
  • 仕組み化・自動化:単純な事務作業はテンプレートを活用したり、アシスタントの方に上手にお願いしたりする。

時間は、誰にでも平等に与えられた資本です。この資本をどう使うかが、他の営業との差を生む大きなポイントになるんですよ。

秘訣3:お客様の「感情」に寄り添う、一歩先のヒアリング

契約が取れる営業は、お客様の「条件」ではなく、その奥にある「感情」を聞いています。「駅徒歩5分」という条件の裏側にある、「少しでも長く家族と過ごしたい」という感情。「広いリビング」という希望の裏側にある、「子供たちが友達を呼んで、楽しく遊んでほしい」という親心。

そうした、お客様の人生の物語に深く寄り添い、共感することで、初めて本当の信頼関係が生まれます。「この人は、ただの営業じゃなく、私たちの未来を真剣に考えてくれるパートナーだ」と感じていただけた時、お客様はあなたから家を買いたい、と思ってくださるんです。

秘訣4:自分だけの「勝ちパターン」を見つけ、磨き上げる

営業のスタイルは、人それぞれです。すべてを完璧にこなす必要はありません。あなた自身の性格や強みに合った、自分だけの「勝ちパターン」を見つけ、そこを徹底的に磨き上げることが大切です。

  • 人と話すのが得意なら、交流会などに積極的に参加して人脈を広げる。
  • コツコツと分析するのが得意なら、誰にも負けないエリア情報や物件知識を武器にする。
  • 文章を書くのが得意なら、心に響くニュースレターでお客様との関係を深める。

自分の得意な土俵で戦うことで、無理なく、そして楽しく成果を出すことができるようになります。

秘訣5:紹介が生まれる「アフターフォロー」を仕組み化する

安定して契約を取り続けるトップセールスは、新規顧客の開拓に、実はあまり時間を使っていません。彼らの契約の多くは、過去のお客様からの「紹介」によって生まれているからです。

そのためには、契約後のお付き合い、つまり「アフターフォロー」が何よりも重要になります。お引越し後にお伺いの連絡をしたり、季節のご挨拶状を送ったり、地域の新しい情報をお届けしたり。

こうした丁寧な関係構築を続けることで、お客様はあなたの「ファン」になり、「家を探している友人がいるんだけど…」と、新しいお客様を連れてきてくださるようになるんです。

秘訣6:常に自分のスキルを磨き続ける「自己投資」

不動産業界を取り巻く法律や税制、金融商品は、常に変化しています。お客様から「プロ」として信頼され続けるためには、学び続ける姿勢が不可欠です。

宅建士の資格はもちろん、ファイナンシャルプランナー(FP)や住宅ローンアドバイザーといった関連資格を取得したり、コミュニケーションやマーケティングに関する本を読んだり。自分の知識やスキルを高めるための「自己投資」を惜しまないこと。これが、あなたという商品の価値を高め、長期的に稼ぎ続けるための、一番確実な方法です。

秘訣7:チームを巻き込み、自分の力を「レバレッジ」させる

どんなに優秀な営業でも、一人の力には限界があります。目標を安定して達成し続ける人は、上手に周りの力を借りて、自分の力を何倍にも増幅させる「レバレッジ」の考え方を持っています。

例えば、書類作成などの事務作業はアシスタントの方にお願いして、自分はお客様と向き合う時間に集中する。経験豊富な先輩に、難しい案件の相談に乗ってもらう。同僚と成功事例や失敗事例を共有し合う。そうやってチーム全体で戦うことで、一人では決して届かなかった高い目標も、達成することが可能になるんです。


不動産営業で「月何件」という問いの本当の答えと、目標達成の秘訣まとめ

不動産営業の「月に何件?」という素朴な疑問から、その裏側にあるリアルな数字、そして目標を達成し続けるための具体的な戦略まで、詳しくお話ししてきました。最後に、この記事の心をまとめておきましょう。

  1. 「月何件」の答えは、売買なら「月1件」、賃貸なら「月5~10件」が目安

    ただし、これはあくまで平均的な数字。会社のビジネスモデルや、あなたの目標によって、目指すべき件数は大きく変わります。
  2. 年収を本当に決めるのは「件数」よりも「契約の質(単価)」

    どんな物件を扱う会社を選ぶかが、あなたの収入の上限を決めると言っても過言ではありません。
  3. 目標達成は、才能ではなく「再現性のある戦略」の結果

    逆算思考で行動を分解し、時間を管理し、お客様の感情に寄り添うこと。こうした、誰でも実践できる基本的な行動の積み重ねが、安定した成果を生み出します。
  4. 数字に一喜一憂せず、お客様への価値提供に集中することが、一番の近道

    「月何件」という数字は、あくまで結果です。その数字を追いかけるのではなく、目の前のお客様を幸せにすることに全力を注いだ時、契約は自然と後からついてくるものなんですよ。

「月に何件」という数字のプレッシャーは、確かにこの仕事の厳しい側面です。でも、その目標をクリアし、お客様から心からの「ありがとう」をいただけた時の喜びは、何物にも代えがたいものです。

この記事が、あなたが不動産営業という仕事のリアルな姿を理解し、自分らしい目標を見つけるための、確かな一歩となれたなら、これほど嬉しいことはありません。