「不動産営業って、朝から晩まで働いているイメージがあるけど、実際の一日ってどんな感じなんだろう…」「自分の時間なんて、全く取れないのかな？」
不動産業界に興味を持つと、その華やかなイメージの裏側にある「働く時間」のリアルな姿が、気になってきますよね。自分のプライベートな時間を大切にしながら、本当にこの仕事を続けていけるのだろうか、と不安に感じてしまうお気持ち、とてもよく分かります。
確かに、不動産営業のお仕事は、お客様のご都合に合わせて動くため、勤務時間は不規則になりがちです。でも、それは「常に時間に追われて、自分のペースで働けない」ということを意味するわけでは、決してないんですよ。
この記事では、不動産営業の典型的な一日の流れを、具体的な時間軸に沿ってご紹介しながら、デキる営業マンが実践している「時間を支配する」ための秘訣まで、詳しくお話ししていきたいと思います。このリアルな姿を知れば、あなたの不安はきっと、具体的な挑戦へのイメージに変わっていくはずです。
この記事でお伝えしたいこと
- 【業務別】不動産営業の典型的な1日のタイムスケジュール
- なぜ働く時間が不規則になりがちなのか？その構造的な理由
- 「時間に追われる人」と「時間を支配する人」の決定的な違い
- 明日からできる！自分の時間を守るための5つのタイムマネジメント術
不動産営業のリアルな1日｜時間帯別の仕事内容を徹底解説
それでは早速、不動産営業マンが、一日のうち、どんな時間に、どんな仕事をしているのか、そのリアルな姿を覗いてみましょう。ここでは、お客様のご案内が多い「土日」と、事務作業や準備に時間を充てられる「平日」の、2つのパターンに分けてご紹介しますね。
パターン1：お客様との出会いが生まれる「土日」の1日
土日や祝日は、不動産営業にとって、まさに「勝負の日」です。多くのお客様が、この日にお家探しや見学の時間を取られるため、一日中、お客様対応に追われることも少なくありません。
【売買仲介営業 Aさんのとある土曜日のスケジュール】
9:00 出社・朝礼・メールチェック
出社後、まずは店舗全員での朝礼から一日がスタートします。その日の各自のスケジュールや、物件の最新情報を共有。その後、お客様からの問い合わせメールや、社内連絡などをチェックし、その日の行動計画を最終確認します。
10:00 午前のお客様対応（ご来店）
ご予約いただいていたお客様がご来店。まずは、じっくりと時間をかけて、お客様のご要望や、新しいお住まいでの夢について、ヒアリングを行います。「どんな暮らしがしたいですか？」という、お客様の未来を一緒に描く、とても大切な時間です。
12:00 物件へのご案内（内見）
ヒアリング内容を基に、いくつかの物件をピックアップ。会社の車でお客様をご案内します。ただ物件のスペックを説明するだけでなく、周辺の環境や、日当たり、風通しなど、お客様がそこで生活するイメージを持てるように、五感をフル活用して物件の魅力をお伝えします。
13:30 昼食
お客様をお送りした後、次のアポイントまでの間に、急いで昼食を取ります。近くの定食屋さんでサッと済ませることもあれば、移動中の車の中でおにぎりを頬張る、なんてことも。ゆっくりとランチを楽しむ時間は、なかなか取れないのが現実です。
15:00 午後のお客様対応（ご案内）
午後からは、別のお客様をご案内。午前中のお客様とは、家族構成も、希望エリアも全く異なります。頭を切り替えて、そのお客様にとってのベストな提案を考えます。時には、予定していなかった物件にも、臨機応変にご案内することも。
17:00 帰社・追客活動
店舗に戻り、今日ご案内したお客様へ、お礼のメールや電話をします。「今日見た中では、どの物件が一番印象に残りましたか？」など、お客様の感触を確かめ、次のアクションに繋げるための、重要なアプローチです。
18:00 書類作成・明日の準備
もし、今日ご案内したお客様から「購入したい」というお申し出があれば、そのための申込書や、住宅ローンの事前審査書類の作成に取り掛かります。また、明日ご来店予定のお客様の資料を準備したり、提案する物件の最終チェックを行ったりします。
20:00 退社
その日のタスクを終え、ようやく退社。家に帰ってからも、お客様のことが頭から離れない、なんてことも。心身ともに、エネルギーを使い果たす一日です。
パターン2：未来への種をまく「平日」の1日
平日は、土日のようにお客様のご案内で一日が終わる、ということは比較的少なくなります。その分、未来の契約に繋げるための、地道な「種まき」の活動に時間を使う、とても重要な一日になります。
【売買仲介営業 Aさんのとある木曜日のスケジュール】
9:00 出社・朝礼・タスク整理
土日のお客様対応の結果をチームで共有。その上で、今日一日でやるべきことを、To-Doリストに書き出し、優先順位をつけていきます。平日は、この最初の計画が、一日の生産性を大きく左右します。
10:00 物件の調査・写真撮影
新しく売りに出された物件の調査へ。実際に現地へ足を運び、自分の目で物件の状態や、周辺環境を確認します。お客様に自信を持って提案できるよう、隅々までチェックし、魅力的な写真を撮影します。
12:00 役所・法務局回り
調査した物件に関する、法的な規制（建ぺい率や容積率など）や、権利関係を調べるため、市役所や法務局を回ります。お客様の安全な取引を守るための、非常に地道ですが、欠かすことのできない仕事です。
13:00 昼食
この日は、同僚と一緒に、最近オープンしたと噂のラーメン屋さんでランチ。情報交換をしながら、少しだけリラックスできる時間です。
14:00 広告作成・ポスティング
調査した物件の広告（マイソク）を作成します。お客様の心に響くキャッチコピーを考え、物件の魅力を最大限に伝えるための工夫を凝らします。作成したチラシを持って、担当エリアにポスティング活動へ。未来のお客様との、最初の接点を作るための活動です。
17:00 追客・アポイント獲得
過去にお問い合わせのあったお客様や、以前ご案内したお客様へ、電話やメールでアプローチします。「その後、お家探しはいかがですか？」「こんな新しい物件が出ましたが、ご興味ありませんか？」と、関係性を繋ぎ、週末のアポイント獲得を目指します。
18:30 契約書類の作成
今週末に契約を控えているお客様のための、重要事項説明書や契約書の作成に取り掛かります。法律の条文や、数字の一つひとつを、細心の注意を払って確認する、非常に集中力が必要な作業です。
19:30 退社
明日の準備を終え、退社。平日は、比較的自分のペースで時間を使いやすいですが、やるべきことは山積みです。いかに効率よくタスクをこなすかが、早く帰るための鍵になります。
なぜ？不動産営業の働く時間が不規則になる3つの理由
この二つのスケジュールを見て、何かお気づきになったことはありませんか？不動産営業の働く時間が、なぜ不規則になりがちなのか、その背景にある、業界ならではの3つの理由が見えてくるはずです。
理由1：お客様の「人生の時間」に合わせる仕事だから
これが、根本的な理由です。私たちの仕事は、お客様の人生における、とても大切な「時間」をお借りして成り立っています。お客様が、ご家族と過ごす貴重な休日や、仕事終わりの夜の時間を、私たちのために割いてくださる。だからこそ、私たちも、そのお客様の時間軸に合わせて動くのが、プロとしての当然の姿勢なんですね。
理由2：「フロー型」と「ストック型」の業務が混在しているから
不動産営業の仕事は、大きく二つの種類に分けられます。
- フロー型の業務：お客様のご案内や商談など、その時々で発生する、流れのある仕事。
- ストック型の業務：書類作成や情報収集、自己研鑽など、積み重ねていく必要のある仕事。
お客様の予定に左右される「フロー型の業務」が優先されるため、自分でコントロールできるはずの「ストック型の業務」が、どうしても後回しになり、結果として残業時間や、休日の学習時間にずれ込んでしまいがちなんです。
理由3：「自分の時間」を投資しなければ、成果が出にくい構造だから
成果主義の世界では、成果を出すために、誰もが必死に努力します。そして、不動産営業における「成果」は、多くの場合、お客様と接する時間の長さや、情報収集の量に比例する傾向があります。
ライバルよりも少しでも多くの物件を見る。少しでも多くの知識を身につける。そうした、「自分の時間を投資する」という努力が、成果に繋がりやすい構造になっていることが、長時間労働を助長してきた側面は、否定できないかもしれません。
「時間に追われる人」と「時間を支配する人」の決定的な違い
同じ時間、同じ環境で働いていても、なぜかいつも時間に追われて、残業ばかりしている人がいる一方で、涼しい顔で定時に帰りながらも、きっちりと成果を出す人がいます。この二人の間には、一体どんな違いがあるのでしょうか。それは、才能や能力の差ではありません。「時間」に対する、根本的な考え方の違いにあるんです。
時間に「追われる」人の特徴
- 行き当たりばったりで行動する：その日の気分や、舞い込んできた仕事に、場当たり的に対応してしまう。
- すべての仕事を100点でやろうとする：重要でない仕事にも、完璧を求めて時間をかけすぎてしまう。
- 「ノー」が言えない：頼まれた仕事を、何でも安請け合いしてしまい、自分のキャパシティを超えてしまう。
- 一人で抱え込む：「自分でやらなきゃ」という責任感が強く、周りに助けを求めるのが苦手。
こうした働き方をしていると、常に「時間に追われている」という感覚から抜け出せず、心も体も疲弊してしまいます。
時間を「支配する」人の特徴
一方、デキる営業マンは、まるでオーケストラの指揮者のように、自分の時間を巧みに操ります。
- 一日の始まりに、緻密な計画を立てる：今日やるべきことの優先順位を明確にし、どのタスクにどれくらいの時間をかけるかを、あらかじめ決めている。
- 「やらないこと」を決めている：自分の成果に繋がらない、重要でない仕事は、やらない、断る、人に任せる、という判断ができる。
- 時間を「ブロック」で考える：「10:00～11:00は、提案資料の作成に集中する」というように、時間をブロックで確保し、その間は他のことに邪魔されないようにする。
- 常に「目的」を意識している：「この会議の目的は何か」「この作業は何のためにやっているのか」と、常に目的から逆算して行動するため、無駄な動きがない。
彼らにとって、時間は、ただ流れていくものではなく、自らの意志でデザインし、コントロールするものなんです。この意識の差が、生産性に、そして人生の豊かさに、大きな違いを生むんですね。
自分の時間を守る！明日からできる5つのタイムマネジメント術
「時間を支配する」と言われても、何から手をつけていいか分からない、と感じるかもしれませんね。大丈夫ですよ。ここでは、誰でも明日からすぐに実践できる、具体的な5つのテクニックをご紹介します。
テクニック1：「アイゼンハワー・マトリクス」で、タスクを仕分ける
これは、先ほどお話しした、「緊急度」と「重要度」でタスクを4つに分類する、非常に有名なフレームワークです。一日の始まりに、このマトリクスを使ってタスクを整理するだけで、「今、本当にやるべきこと」が一目瞭然になります。
一番大切なのは、どの領域ですか？
それは、間違いなく「緊急ではないが、重要なこと」の領域です。あなたの将来の成果に繋がる、自己投資や、長期的な計画などが、ここに含まれます。多くの人は、この領域を後回しにしがちですが、意識的にこの領域に時間を使うことこそが、デキる営業への近道なんです。
テクニック2：「ポモドーロ・テクニック」で、集中力を最大化する
これは、「25分間の作業＋5分間の休憩」を1セットとして、繰り返す時間管理術です。人間の集中力は、そんなに長くは続きません。あえて短いサイクルで区切ることで、常に新鮮な集中力を保ちながら、タスクに取り組むことができるんです。
特に、契約書の作成など、高い集中力が必要な事務作業を行う際に、非常に効果的ですよ。スマートフォンのタイマーアプリなどを使えば、誰でも簡単に始められます。
テクニック3：「2分ルール」で、面倒な仕事を瞬殺する
「2分以内に終わりそうな仕事は、見つけたらすぐに片付けてしまう」という、とてもシンプルなルールです。例えば、お客様への短いお礼メールや、社内の簡単な返信などですね。
「後でやろう」と思って先延ばしにすると、そのタスクが頭の片隅に残り続け、集中力を奪ってしまいます。小さな仕事をすぐに片付けてしまう習慣をつけるだけで、頭の中が驚くほどスッキリしますよ。
テクニック4：「パーキンソンの法則」を知り、締め切りを意識する
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という、面白い法則があります。つまり、締め切りが1週間後だと、その仕事を終えるのに1週間かかってしまう、ということです。
この法則を逆手にとって、あえて自分で、本来の締め切りよりも短い「仮の締め切り」を設定するんです。そうすることで、良い意味での緊張感が生まれ、驚くほど仕事が早く終わるようになります。
テクニック5：「インプット」と「アウトプット」の時間を明確に分ける
メールチェックや情報収集といった「インプット」の作業と、資料作成やお客様への提案といった「アウトプット」の作業は、使う脳の部分が違います。これらを同時にやろうとすると、脳が混乱し、生産性が落ちてしまいます。
「午前中は、クリエイティブな提案資料の作成（アウトプット）に集中し、午後の決まった時間に、まとめてメールチェック（インプット）をする」というように、それぞれの作業時間を、明確に分けてスケジュールを組むのがおすすめです。
不動産営業の働く時間は、あなた自身がデザインできる、という真実のまとめ
不動産営業の「働く時間」のリアルな姿と、その時間を自らの手でコントロールするための秘訣について、詳しくお話ししてきました。最後に、この記事でお伝えしたかった大切な心を、まとめておきましょう。
- 不動産営業の働く時間は、確かに不規則だが、その理由を理解することが第一歩
お客様の時間に合わせるという仕事の特性上、ある程度の不規則さは避けられません。しかし、その構造を理解することで、対策は見えてきます。 - 業界は今、長時間労働を是正する方向へ、大きく舵を切っている
法改正やテクノロジーの進化によって、根性論で長時間働くのではなく、スマートに効率よく働くスタイルが、これからのスタンダードになります。 - 時間を「支配」する意識を持つことが、人生を変える
時間は、ただ流されるものではなく、自らの意志でデザインするものです。タイムマネジメント術を身につけることで、あなたは時間の主人になることができます。 - プライベートの充実は、仕事の成果に繋がる
自分の時間を大切にし、しっかりと休息や自己投資をすることが、結果的に仕事のパフォーマンスを最大化させ、あなたを成功へと導いてくれるのです。
不動産営業は、お客様の人生に深く関わる、とてもやりがいの大きな仕事です。そして、その働き方は、決して会社に決められるものではなく、あなた自身の工夫と意識次第で、いくらでも豊かに、そして自分らしいものにしていくことができるんですよ。
この記事が、あなたが「時間」への不安を乗り越え、自信を持って、このエキサイティングな世界への扉を開く、小さなきっかけとなれたなら、これほど嬉しいことはありません。
