「不動産営業への転職を決めたけれど、自己PRで何を話せばいいのか、さっぱり思いつかない…」「私のこれまでの経験って、本当に不動産業界で通用するんだろうか…」
そんな風に、ご自身の経歴書を前に、自信をなくしてしまってはいませんか？自己PRって、自分のことをアピールする場なのに、どうしてこんなに難しいんでしょうね。
でも、大丈夫ですよ。それは、あなたの経歴が足りないからではなく、ただ、その魅力を伝える「方法」を知らないだけなんです。自己PRは、ただの自慢話ではありません。あなたの経験という宝物を、相手に「欲しい」と思ってもらえるように、素敵に磨き上げて見せる作業なんですよね。
この記事では、あなたの経験を不動産業界で輝く「武器」に変えるための、具体的な方法を一緒に考えていきたいと思います。これを読み終える頃には、きっと、あなただけの「勝てる自己PR」が作れるはずです。
この記事でお伝えしたいこと
- 不動産営業の採用担当者が自己PRで本当に見ている4つのポイント
- 未経験からの転職でも武器になる！あなたの経験に眠る8つの強み
- どんな経験もアピールに変わる、自己PRの黄金構成「PREP法」
- 強み・前職別に使える、具体的な自己PR例文集
不動産営業への転職｜採用担当者は自己PRのどこを見ている？
まずはじめに、採用担当者、つまり面接官の方が、あなたの自己PRから何を知りたいと思っているのか、その「視点」を理解することから始めましょう。相手が何を知りたいのかが分かれば、あなたが何を伝えるべきか、その答えは自ずと見えてきますからね。
彼らは、たくさんの応募者の中から、未来の同僚として、そして会社の戦力として活躍してくれる人を探しています。その判断基準は、決して表面的な経歴だけではないんですよ。
ポイント1：企業が求める人物像との「一致度」
採用担当者がまず見ているのは、あなたが「私たちの会社に合う人かどうか」ということです。どんなに優秀な方でも、会社の文化や価値観と合わなければ、お互いにとって不幸な結果になってしまいますよね。
ですから、自己PRを考える前に、まずは応募する会社のホームページや採用サイトをじっくり読み込んで、「どんな人を求めているのか」を理解することが大切です。
「お客様第一主義」「チームワークを重視」「挑戦を歓迎する風土」など、その会社が大切にしている価値観と、あなたの強みや考え方が、いかに一致しているかをアピールすることが、最初の関門になります。
ポイント2：過去の実績よりも「再現性のあるスキル」
「前職で営業成績1位でした」という実績は、もちろん素晴らしいことです。でも、採用担当者が本当に知りたいのは、その結果そのものよりも、「なぜ、1位になれたのですか？」という、その裏側にあるプロセスなんです。
例えば、それは「徹底した顧客分析に基づいた提案力」だったのかもしれませんし、「誰よりも粘り強く顧客と向き合った関係構築力」だったのかもしれません。
そうした、結果を生み出すための普遍的な能力、つまり「再現性のあるスキル」こそが、不動産営業という新しい舞台でも、あなたが活躍できることを証明してくれる、何よりの証拠になるんですね。
ポイント3：入社後の「貢献意欲」と「将来性」
企業は、ボランティア団体ではありません。あなたを採用することで、会社にどんなメリットがあるのか、という視点を常に持っています。
ですから、自己PRの最後は、必ず「あなたの強みを活かして、入社後にどう会社に貢献したいか」という、未来に向けた言葉で締めくくることが大切です。
「私の〇〇という強みを活かし、貴社の△△という事業で、□□のように貢献したいです」というように、具体的なビジョンを語ることで、採用担当者は、あなたが活躍する姿をありありとイメージすることができます。
特に未経験からの転職であれば、「一日も早く業務を覚え、将来的には〇〇の分野でも貢献したい」といった高い学習意欲と「伸びしろ」を感じさせることが、大きなアピールポイントになりますよ。
ポイント4：あなた自身の「人柄」と「熱意」
スキルや経験と同じくらい、いえ、もしかしたらそれ以上に大切に見られているのが、あなた自身の「人柄」です。「この人と一緒に働きたいな」と思ってもらえるかどうか、と言い換えてもいいかもしれません。
自己PRに盛り込まれたエピソードから伝わる、あなたの仕事に対する誠実な姿勢や、困難に立ち向かう前向きな気持ち。そして、「どうしてもこの会社で働きたいんだ」という、言葉の端々からにじみ出る熱意。
こうした、論理だけでは測れない「人間的な魅力」が、最終的に採用担当者の心を動かす、決め手になることも少なくないんですよ。
あなたの経験を武器に！不動産営業の自己PRで使える8つの強み
「私には、アピールできるような特別な強みなんてない…」もしあなたがそう思っているとしたら、それは大きな誤解です。どんなお仕事の経験も、見方を変えれば、不動産営業という新しい舞台で輝く、あなただけの「武器」になるんです。
ここでは、あなたの経験の中に眠っている「強み」という原石を見つけ出し、磨き上げるためのヒントを8つご紹介しますね。
武器1：【対人関係力】お客様の心を開くコミュニケーション能力
お客様との信頼関係がすべての不動産営業において、コミュニケーション能力は最も基本的な、そして最も重要なスキルです。これは、ただお話が上手ということではありません。
- ヒアリング力：お客様が言葉にする要望だけでなく、その裏にある不安や夢を汲み取る力。
- 提案力：お客様の課題に対し、専門知識を交えながら、納得感のある解決策を示す力。
- 交渉力：売主様と買主様など、異なる立場の人の間に入り、双方にとって良い着地点を見つける力。
接客業や営業職の方はもちろん、社内調整や電話対応など、これまで人と関わってきた経験は、すべてがこの力に繋がっています。
武器2：【目標達成力】逆境を乗り越える課題解決能力
成果が求められる営業の世界では、与えられた目標に対し、どう考え、どう行動したかが問われます。ただ「頑張りました」ではなく、論理的なプロセスを語ることが大切です。
「売上目標が未達だった際に、原因を分析し（課題発見）、新しいアプローチを試した結果（行動）、目標を達成できた（結果）」というように、PDCAサイクル（Plan-Do-Check-Action）を回した経験は、あなたの課題解決能力の高さを示す、最高の証明になります。
武器3：【継続力】成果が出るまで諦めない粘り強さ
不動産営業は、すぐに結果が出ないことも多い、我慢強さが求められる仕事です。お客様からの難しいご要望や、予期せぬトラブルに直面することもあるでしょう。
そうしたストレスのかかる状況でも、投げ出さずに最後までやり遂げた経験は、あなたの精神的なタフさ（ストレス耐性）を示す、強力なアピールポイントになります。クレーム対応を誠実に行い、最終的にお客様から感謝された経験なども、素晴らしいエピソードですね。
武器4：【学習意欲】常に自分をアップデートする力
法律や税制が次々と変わる不動産業界では、「自ら学ぶ姿勢」が何よりも重要です。未経験からの転職であれば、この学習意欲の高さが、経験不足を補って余りあるほどの魅力になります。
「新しい業務を覚えるために、マニュアルを熟読するだけでなく、自分なりにノートにまとめた」「業務に関連する〇〇の資格を、独学で取得した」といった経験は、あなたの成長意欲の高さを雄弁に物語ってくれます。
武器5：【誠実さ】お客様の利益を第一に考える姿勢
自分の利益のためではなく、「本当にお客様のためになることは何か」を考えて行動した経験は、あなたの「誠実さ」という人柄を伝える、とても大切なエピソードになります。
例えば、「お客様のご要望でしたが、デメリットも大きいと判断し、正直にお伝えした上で、別の最適なプランを提案した」といった経験です。目先の利益に惑わされず、お客様と長期的な信頼関係を築こうとする姿勢は、不動産営業において最も尊ばれる資質の一つなんですよ。
武器6：【管理能力】自分を律するセルフマネジメント力
時間の使い方が比較的自由な不動産営業では、自分自身を管理する能力が、成果に直結します。スケジュール管理やタスク管理はもちろん、モチベーションが下がった時に、どうやって自分を奮い立たせるか、といったメンタルコントロールも含まれます。
複数の業務を並行して進めた経験や、長期的なプロジェクトを計画通りに完遂させた経験は、あなたの自己管理能力の高さを示す良い材料になります。
武器7：【協調性】チームで成果を最大化する力
不動産の仕事は、決して一人ではできません。営業担当者、事務スタッフ、上司、そして他部署のメンバー。チームで連携してこそ、お客様に最高のサービスが提供できるのです。
「自分の仕事だけでなく、周りのメンバーの状況にも気を配り、積極的にサポートした」「チームの目標達成のために、自分にできる役割を考えて行動した」といった経験は、あなたの協調性の高さと、組織への貢献意欲を示してくれます。
武器8：【PCスキル】業務を効率化するITリテラシー
意外と見落としがちですが、基本的なPCスキルも立派な強みです。特に、Excelでのデータ集計や、PowerPointでの分かりやすい資料作成のスキルは、どんな会社でも歓迎されます。
「〇〇というツールを導入し、業務効率を△%改善した」といった経験があれば、あなたの課題発見能力と、会社全体の生産性を上げようという高い意識もアピールできますね。
これで完璧！採用担当に響く自己PRの作り方と具体的な例文
あなたの「武器」が見つかったところで、いよいよ自己PRを組み立てていきましょう。効果的な自己PRには、実は世界共通の「伝わる型」があるんです。その型に沿って、あなたのエピソードを当てはめていくだけで、誰でも説得力のある自己PRが作れますよ。
どんな経験もアピールに変わる！自己PRの黄金構成「PREP法」
その魔法のような型が、「PREP（プレップ）法」です。これは、Point（結論）→ Reason（理由）→ Example（具体例）→ Point（結論）の頭文字を取ったもので、ビジネスのプレゼンテーションなどでも広く使われている手法です。
- Point（結論）：「私の強みは、〇〇です」と、まず最初にアピールしたいことを、はっきりと伝えます。
- Reason（理由）：「なぜなら、前職で〇〇という経験を通じて、その力を培ってきたからです」と、結論の根拠を述べます。
- Example（具体例）：「具体的には、〇〇という状況で、△△のように考え、□□と行動した結果、◇◇という成果を上げることができました」と、具体的なエピソードを語ります。ここが、自己PRで最も重要な、あなたの物語の部分です。
- Point（結論）：「この〇〇という強みを活かし、貴社に入社後は、△△のようにお客様や会社に貢献したいです」と、未来への貢献意欲で締めくくります。
この順番で話すだけで、あなたの話は驚くほど分かりやすく、説得力を持つようになるんですよ。ぜひ、試してみてくださいね。
PREP法は、ビジネスコミュニケーションの基本として多くの場面で活用されています。厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」でも、自己PRの作成方法として、PREP法のような構成で具体的に記述することの重要性が示唆されています。
job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
【強み・前職別】不動産営業で使える自己PR例文集
それでは、PREP法を使って作成した、具体的な自己PRの例文をいくつかご紹介します。ご自身の経験と照らし合わせながら、あなたならどう語るか、考えてみてください。
例文1：強み「課題解決能力」をアピールする場合
私の強みは、現状を分析し、目標達成のための課題を解決する力です。（Point）
前職のIT営業では、常に目標から逆算し、達成への最短ルートを考えることを徹底してまいりました。（Reason）
具体的には、担当エリアの売上目標が3ヶ月連続で未達だった際、過去のデータを徹底的に分析し、課題が「既存顧客へのアップセル不足」にあると突き止めました。そこで、既存顧客向けの新たな提案資料を作成し、訪問件数を月5件から15件に増やした結果、半年後には目標を120%達成することができました。（Example）
この課題解決能力を活かし、貴社でも、お客様一人ひとりが抱える「理想の住まい」という課題に対し、最適な解決策を提案することで貢献したいと考えております。（Point）
例文2：強み「関係構築力」をアピールする場合
私の強みは、相手の心に寄り添い、長期的な信頼関係を築く力です。（Point）
現職のウェディングプランナーとして、お客様の人生で最も幸せな瞬間を創り上げるために、何よりもお客様との信頼関係を大切にしてまいりました。（Reason）
あるお客様から「特にこだわりはないんです」と言われた際も、すぐに提案に入るのではなく、お二人の馴れ初めや好きなものについて、2時間以上じっくりとお話を伺いました。その中からお二人の共通の趣味である「旅行」というテーマを見つけ出し、それをコンセプトにした結婚式を提案したところ、「私たちのことを一番理解してくれた」と、涙を流して喜んでいただくことができました。（Example）
この、お客様の言葉にならない想いを汲み取り、信頼を形にする力を、不動産という、お客様の人生に長く寄り添うお仕事でこそ、最大限に発揮したいと考えております。（Point）
例文3：前職「接客・販売職」からの転職
私の強みは、お客様の潜在的なニーズを引き出すヒアリング力です。（Point）
アパレル販売員として5年間、お客様との会話の中から、本当に求めているものを見つけ出し、ご満足いただくことを追求してまいりました。（Reason）
例えば、「普段使いできるジャケットが欲しい」というお客様に対し、すぐに商品を勧めるのではなく、お仕事内容や休日の過ごし方などをお伺いしました。その結果、お客様が本当に求めているのは「仕事でもプライベートでも、自信を持って着られる一着」であると分かり、少し高価でも長く使える上質なジャケットをご提案したところ、大変お喜びいただき、その後も私を指名してくださるようになりました。（Example）
このヒアリング力を活かし、不動産営業においても、お客様のライフプランや夢まで深く理解し、心からご満足いただける「住まい」という最高の提案をしてまいります。（Point）
例文4：前職「事務職」からの転職
私の強みは、営業担当者が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、先回りしてサポートする力です。（Point）
営業事務として、常に「どうすれば担当者がもっと動きやすくなるか」を考え、業務に取り組んでまいりました。（Reason）
担当者が新規顧客への提案で多忙を極めていた際、過去の類似案件のデータを分析し、提案に役立ちそうな資料を事前に準備しておきました。その結果、提案の質が上がったと評価され、チームの目標達成に貢献することができました。また、日々の業務でも、契約書類のダブルチェックを徹底し、3年間ミスのない状態を維持してまいりました。（Example）
今後は、このサポート力と正確性を、自らがお客様の前に立つことで直接発揮したいです。営業の気持ちがわかるからこそできる、きめ細やかな対応で、お客様に安心と信頼を提供できる営業を目指します。（Point）
不動産営業への転職で成功する自己PRが書ける理由のまとめ
不動産営業への転職を成功させるための、自己PRの作り方についてお話ししてきました。最後に、大切なポイントをもう一度、一緒に確認しておきましょう。
- 自己PRは、あなたの「取扱説明書」
採用担当者は、あなたがどんな人で、どんなことができて、入社後どう活躍してくれそうかを知りたがっています。実績だけでなく、その背景にある「再現性のあるスキル」と「人柄」を伝えましょう。 - あなたの経験は、すべてが「武器」になる
どんな職種の経験も、切り口次第で、不動産営業で求められる「対人関係力」や「目標達成力」に繋げることができます。自信を持って、ご自身の経験を棚卸ししてみてください。 - 伝わる自己PRの鍵は「PREP法」
「結論→理由→具体例→結論」という黄金の構成に沿って語ることで、あなたの話は驚くほど分かりやすく、説得力のあるものになります。 - 主役は、あなただけの「物語」
自己PRで最も大切なのは、あなた自身の言葉で語られる、具体的なエピソードです。その物語が、あなたのスキルと人柄を証明し、採用担当者の心を動かすのです。
自己PRを考える作業は、これまでのご自身のキャリアを振り返り、その価値を再発見する、とても素晴らしい機会です。
「自分は、こんな風に頑張ってきたんだな」「この経験は、次のステージでもきっと役立つはずだ」そんな風に、ご自身への自信を深めることができたなら、その自信は、面接の場でもきっと、あなたの言葉に力を与えてくれるはずですよ。
