「不動産営業」と聞くと、どんな人を思い浮かべますか？高級腕時計を身につけ、パリッとしたブランドスーツに身を包み、自信たっぷりの笑顔で話す…そんな、少し「ギラギラ」したエネルギッシュな姿をイメージされる方も、少なくないかもしれませんね。
こうしたイメージから、「自分には向いていないかも…」と、不動産業界への一歩をためらってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。こんにちは。私は以前、大手不動産会社で営業を経験し、現在は広報として350人以上の営業の方々を取材してきました。
そんな私の経験からお伝えできるのは、その「ギラギラ系」というイメージは、不動産営業の一つの側面に過ぎない、ということなんです。実際には、本当にさまざまなタイプの人が、それぞれの強みを活かして活躍しています。この記事では、そのリアルな人物像と、タイプは違えど活躍する人に共通する大切なことについて、丁寧にお話ししていきますね。
この記事でお伝えしたいこと
- なぜ不動産営業に「ギラギラ」したイメージがあるのか、その背景
- 元営業が解説！現場で活躍する7つのリアルな人物像
- 「ギラギラ」の裏側にある、意外な強みとその本質
- タイプは違っても大丈夫！活躍する営業に共通するたった一つのこと
- 自分にぴったりの社風や営業スタイルを見つけるためのヒント
なぜ不動産営業は「ギラギラ」したイメージを持たれるの？
まずはじめに、どうして不動産営業に「ギラギラ」という少し特別なイメージがつきまとうのでしょうか。私が思うに、それには大きく3つの理由があるんです。この背景を知ることで、世間のイメージと実態とのギャップが見えてくるはずですよ。
理由1：高収入と成果主義が生み出す「成功の可視化」
不動産業界、特に営業職は、成果が給与に直接反映される「成果主義」を採用している会社がとても多いです。基本給に加えて、契約件数や売上に応じたインセンティブ（歩合給）が支払われる仕組みですね。
この仕組みがあるからこそ、トップクラスの営業マンになると、20代で年収1,000万円を超えることも珍しくありません。そして、その成功の証として、高級なスーツや時計、車などを手に入れる人もいます。それが、周囲からは「ギラギラしている」と見える一因になっているんですね。
つまり、「稼ぐこと」が仕事の大きなモチベーションであり、その成果が目に見える形で表れやすい環境だということです。これは、仕事への情熱や実力の証明でもあるのですが、派手な部分だけが切り取られてイメージとして定着してしまったのかもしれません。
理由2：メディアが描くドラマティックな人物像の影響
テレビドラマや映画の影響も、とても大きいと思います。物語を面白くするために、不動産営業の登場人物は、少し大げさで、個性の強いキャラクターとして描かれることが多いですよね。
例えば、強引な交渉で次々と契約をまとめたり、お客様と派手な駆け引きを繰り広げたり。こうしたドラマティックな姿は印象に残りやすいので、いつの間にか「不動産営業＝こういう人たち」というイメージが作られてしまうんです。
最近では、NHKのドラマ『正直不動産』のように、業界のリアルな慣習を描く作品も増えてきました。それでもやはり、エンターテインメントとしての脚色があることは、心に留めておくと良いかもしれませんね。
理由3：一部の営業スタイルが与える強い印象
不動産営業の中でも、特に投資用不動産の販売などは、新規のお客様を自分から開拓していく「アウトバウンド型」の営業が中心になることがあります。
電話でアポイントを取ったり、時には予告なしで訪問したり。こうした営業スタイルでは、相手に話を聞いてもらうために、まず自信に満ちた、堂々とした態度が求められます。少し強気で、エネルギッシュな姿勢が、結果的に「ギラギラしている」という印象につながることがあるんです。
もちろん、これは数ある営業スタイルの一つに過ぎません。でも、こうした積極的な営業のイメージが、業界全体の代表的な姿として捉えられがちなのも、また事実なんですよね。
【実態解明】不動産営業で活躍する7つの人物像
「ギラギラ」のイメージの背景がわかったところで、いよいよ本題です。私がこれまで取材してきた中で出会った、現場で実際に活躍している営業の方々は、本当に多種多様でした。ここでは、その代表的な7つのタイプをご紹介します。きっと、「こんな人もいるんだ！」という発見があるはずです。
タイプ1：野心あふれる「ギラギラ系」ハンター
まずは、皆さんがイメージする通りの、いわゆる「ギラギラ系」です。彼らは確かに存在しますし、トップセールスとして会社を牽引していることも少なくありません。
- 特徴：自信家で、目標達成への意欲が非常に高いです。難しい交渉も臆さず、常にトップを目指しています。物欲や成功欲が、仕事の大きなエネルギーになっています。
- 強み：圧倒的な行動力と、少々のことでは折れない精神的なタフさが最大の武器です。成果に対する執着心が強く、一度決めた目標は必ず達成するという強い意志を持っています。
- 活躍の場：成果がダイレクトに報酬に反映される、投資用不動産販売や用地仕入れといった分野で、水を得た魚のように活躍することが多いです。
彼らの「ギラギラ」は、自信のなさの裏返しではなく、確固たる実力と努力に裏打ちされたプロ意識の表れなんです。あるトップセールスの方は、「お客様に不安を与えないよう、常に堂々としているのがプロの仕事だ」と話していました。
タイプ2：誠実さが武器の「聞き上手」コンサルタント
ギラギラ系とは正反対に位置するのが、このタイプです。派手さはありませんが、お客様からの信頼は絶大です。
- 特徴：自分の話をするよりも、まずお客様の話をじっくりと、丁寧に聞くことを大切にします。物腰が柔らかく、共感力が高いため、お客様も安心して本音を話してくれます。
- 強み：お客様との間に、深く、長期的な信頼関係を築けることです。目先の契約を追うのではなく、お客様にとって何が最善かを一緒に考え抜く姿勢が、結果的に「あなたから買いたい」という言葉につながります。ご紹介をいただくことも非常に多いですね。
- 活躍の場：お客様の一生に一度の買い物に寄り添う売買仲介や、高い信頼性が求められる富裕層向けの不動産コンサルティングなどで、その真価を発揮します。
タイプ3：知識で勝負する「インテリ」専門家
情熱や人柄だけでなく、圧倒的な知識量で勝負するタイプの営業マンもたくさんいます。お客様にとっては、とても頼りになる存在です。
- 特徴：法律（宅建業法、民法など）や税務、建築に関する知識が非常に豊富です。常に最新の情報を学び続ける探究心があり、物事をロジカルに考えるのが得意です。宅地建物取引士の資格はもちろん、ファイナンシャルプランナーなどの資格も持っていることが多いです。
- 強み：専門的で難しい内容を、誰にでもわかるように、かみ砕いて説明する能力に長けています。その的確な説明が、お客様に大きな安心感と納得感を与えます。
- 活躍の場：複雑な権利関係や法律が絡む売買仲介、法人向けの事業用不動産の取引など、専門性が高く求められる分野で重宝されます。
タイプ4：誰からも好かれる「愛されキャラ」
理屈ではなく、天性の人懐っこさや明るさで、自然と人の輪の中心にいるようなタイプです。彼らの周りには、いつも情報と人が集まってきます。
- 特徴：とにかくコミュニケーション能力が高いです。初対面の人ともすぐに打ち解け、フットワークも軽い。いつもポジティブで、周りの雰囲気を明るくする力を持っています。
- 強み：お客様はもちろん、物件の情報をくれる他の不動産会社の担当者や、リフォーム業者さんなど、業界内のネットワークを築くのが非常に上手です。その人脈から、まだ表に出ていない貴重な物件情報を仕入れることもあります。
- 活躍の場：多くのお客様とスピーディーに関わる賃貸仲介や、地域の人々との繋がりが大切な地域密着型の不動産会社で、特に輝きを放ちます。
タイプ5：コツコツ努力を重ねる「職人」タイプ
派手なパフォーマンスはありませんが、地道な努力を誰よりも続けられる。そんな「職人」のような営業マンも、会社にとっては欠かせない存在です。
- 特徴：真面目で、継続力があります。お客様へのご提案前の物件調査や資料の準備など、見えないところでの努力を一切怠りません。一つひとつの仕事を、正確かつ丁寧に進めます。
- 強み：その丁寧な仕事ぶりから、ミスが非常に少なく、お客様や会社からの信頼が厚いです。契約書類の作成や、重要事項の説明など、正確性が求められる業務で力を発揮します。長期的に見ると、安定して高い成績を維持し続けることができます。
- 活躍の場：どんな職種でも基礎となる力ですが、特に高い正確性が求められる売買仲介の営業サポートや、不動産管理の分野で高く評価されます。
タイプ6：数字に強い「データ分析」ストラテジスト
感覚や経験だけでなく、客観的なデータに基づいてお客様を成功に導く、戦略家のようなタイプです。近年、ますます重要性が高まっています。
- 特徴：市場データや過去の成約事例、周辺の賃料相場などを徹底的に分析するのが得意です。物事を常に客観的な視点で捉え、情報収集能力に長けています。
- 強み：「なぜこの物件がおすすめなのか」を、誰もが納得できる具体的な数字やデータで示すことができます。そのロジカルな提案は、特に投資用不動産を探しているお客様や、経営者の方々に高く評価されます。
- 活躍の場：市況の分析が不可欠な投資用不動産販売や、事業用不動産のコンサルティング、不動産開発の分野などで、その分析能力が大きな武器になります。
タイプ7：チームをまとめる「調整役」リーダー
一人のプレイヤーとしてだけでなく、チーム全体の力を引き出すことに長けた、マネージャー気質のタイプです。
- 特徴：広い視野を持ち、個人の成績だけでなく、チーム全体の目標達成を常に考えています。メンバー間の意見調整や、後輩の育成にも熱心です。
- 強み：チームの士気を高め、1+1を3にも4にもする相乗効果を生み出すことができます。個性の強い営業マンたちをまとめ上げ、大きなプロジェクトを成功に導くリーダーシップは、会社にとって貴重な財産です。
- 活躍の場：チームで一つの目標を追う、新築マンション・戸建て販売の現場や、営業所の責任者（所長）として、その調整能力を発揮します。
「ギラギラ」は悪じゃない？その本質と自分に合う会社の選び方
7つのタイプをご覧いただいて、不動産営業の人物像が、いかに多様であるかを感じていただけたのではないでしょうか。ここで改めて、「ギラギラ」というイメージについて、もう少し深く考えてみたいと思います。
「ギラギラ」の本質は「自己肯定感」と「プロ意識」
「ギラギラ」という言葉には、少しネガティブな響きがあるかもしれません。でも、その本質を捉え直してみると、決して悪いものばかりではないんです。
自信に満ちた態度は、お客様に安心感を与えるためのプロの振る舞いでもあります。不安そうな営業マンから、数千万円の買い物をしたいと思う人は、なかなかいませんよね。「この人に任せれば大丈夫だ」と思っていただけるような堂々とした姿勢は、実はとても大切なんです。
また、「稼ぎたい」という強い欲求は、仕事に対する情熱や、お客様の期待を超えるサービスを提供しようというエネルギーの源にもなります。彼らが身につける高級品も、自分自身を鼓舞し、常に高いパフォーマンスを維持するためのスイッチのような役割を果たしているのかもしれません。
大切なのは「見た目」ではなく「お客様への姿勢」
私がこれまでに取材してきた中で、タイプは違えど、長く活躍し、お客様から愛されている営業の方々には、たった一つの共通点がありました。それは、どんな時も「お客様のために」という誠実な姿勢を決して忘れないことです。
たとえ見た目がギラギラしていても、お客様の利益を第一に考え、デメリットまできちんと伝える人。物静かでも、お客様の幸せを心から願い、粘り強く最高の物件を探し出す人。タイプは関係ありません。この根底にある想いこそが、信頼の源泉なんです。
あなたのタイプは？後悔しない会社選びの3つの視点
最後に、これまでの話を踏まえて、あなたが自分に合った会社を見つけるためのヒントをお伝えします。大切なのは、自分の性格や価値観を理解し、それに合った環境を選ぶことです。
- 会社の文化や雰囲気を感じる
面接や会社説明会で、社員の方々がどんな雰囲気か観察してみましょう。エネルギッシュで体育会系な文化か、ロジカルで落ち着いた文化か、アットホームで協調性を重んじる文化か。自分が自然体でいられるのはどんな場所かを考えてみてください。 - 評価制度を確認する
個人の成果がダイレクトに反映される歩合給の割合が高い会社もあれば、チームでの目標達成や日々のプロセスを評価してくれる会社もあります。「とにかく稼ぎたい」のか、「安定した環境でじっくり働きたい」のかで、選ぶべき会社は変わってきます。 - 扱う商品と顧客層を知る
どんな商品を、どんなお客様に売るのかも重要なポイントです。例えば、不動産流通経営協会（FRK）のような業界団体のサイトを見ると、不動産会社がどんな事業を行っているかを知るヒントになります。富裕層向けの物件を扱うなら丁寧なコンサルティング力が、若者向けの賃貸ならスピード感が求められる、といった違いがあります。
自分という人間を偽ることなく、自分の強みを最大限に活かせる場所。そんな会社と出会うことができれば、不動産営業という仕事は、きっとあなたを輝かせてくれるはずです。
まとめ：不動産営業の「ギラギラ」イメージと7つの人物像の真実
この記事でお伝えしたかった、不動産営業のリアルな人物像について、最後にポイントをまとめますね。
- 不動産営業の「ギラギラ」したイメージは、成果主義の文化やメディアの影響などから作られたもので、業界の一側面に過ぎません。
- 実際の現場では、「ギラギラ系」だけでなく、「聞き上手コンサルタント」「インテリ専門家」など、実に7つもの多様なタイプの人が、それぞれの強みを活かして活躍しています。
- 「ギラギラ」の本質は、高いプロ意識や自己肯定感の表れでもあり、一概に悪いものとは言えません。
- どんなタイプであれ、活躍する人に共通しているのは、見た目や話し方ではなく、お客様に対する誠実な姿勢です。
- 転職・就職を成功させる鍵は、自分の性格や価値観を理解し、会社の文化、評価制度、扱う商品などが自分に合っているかをしっかり見極めることです。
「不動産営業」という言葉の周りには、たくさんのイメージが飛び交っています。でも、どうかそのイメージだけで判断しないでください。その奥には、多様な人々が情熱を持って働く、奥深い世界が広がっています。
この記事が、あなたが固定観念から自由になり、自分らしいキャリアを築くための一助となれたなら、これ以上嬉しいことはありません。
