不動産営業で契約が取れない…と悩むあなたへ。元営業が教える5つの特効薬

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「今月も契約が取れなかった…」「同期は次々と成果を上げているのに、どうして自分だけ…」

パソコンの画面に映る、ゼロが並んだ営業成績表を前に、胸がぎゅっと締め付けられるような、そんな辛い気持ちを抱えていらっしゃいませんか?

周りの期待に応えられない申し訳なさと、自分の不甲斐なさ。焦れば焦るほど空回りして、お客様と話すことさえ怖くなってしまう。私も営業時代、そんな出口の見えないトンネルの中で、一人で膝を抱えていた時期がありました。

でも、どうかこれだけは信じてください。今、契約が取れないのは、あなたの才能や努力が足りないからでは、決してないんです。多くの場合、ほんの少しだけ、やり方や考え方のボタンを掛け違えているだけなんですよ。

この記事では、そんな辛い時期を乗り越えるための、具体的な5つの処方箋を、私の経験を交えながら、一つひとつ丁寧にお伝えしていきたいと思います。大丈夫。あなたは、決して一人ではありませんよ。

この記事でお伝えしたいこと

  • 契約が取れない時に陥りがちな5つの思考の落とし穴
  • スランプを抜け出すための具体的な5つの処方箋
  • 契約が取れない辛い時期を「成長の種まき期間」に変える心の持ち方
  • 結果が出ない焦りから解放されるための目標設定のコツ

なぜ?不動産営業で契約が取れない人が陥る5つの落とし穴

「一生懸命頑張っているのに、なぜか契約に繋がらない…」その背景には、多くの場合、いくつかの共通した原因が隠れているんです。それは、才能や運の問題というよりも、無意識のうちに陥ってしまっている「思考のクセ」や「行動のパターン」のようなものかもしれません。

まずは、ご自身がどの落とし穴にはまってしまっているのか、一緒に確認してみましょう。原因が分かれば、解決策は必ず見つかりますからね。

落とし穴1:「自分が売りたい」という気持ちが前に出すぎている

「今月のノルマを達成しなきゃ…」「早くこの物件を決めたい…」焦る気持ちは、痛いほどよく分かります。でも、その「自分が売りたい」というオーラは、不思議なほどお客様に伝わってしまうものなんです。

お客様は、自分の都合で商品を押し付けてくる営業マンを、本能的に警戒します。自分の話ばかりしてしまったり、物件のメリットばかりを一方的にアピールしてしまったりしていませんか?

お客様が本当に求めているのは、自分の話をじっくりと聞いて、自分の未来を一緒に考えてくれるパートナーなんです。「売る」ことよりも「聞く」こと。この順番を間違えてしまうと、お客様の心は固く閉ざされてしまいます。

落とし穴2:ヒアリングが浅く、お客様の「本当の想い」を掴めていない

これも、多くの営業が陥りがちな落とし穴です。「どんなお家をお探しですか?」という質問に、お客様は「3LDKで、駅に近い家がいいです」と答えてくださるかもしれません。

でも、それはお客様の「条件(Wants)」であって、その奥にある「本当の想い(Needs)」ではないことが多いんです。なぜ、3LDKが必要なのでしょうか?駅に近いことで、どんな生活を実現したいのでしょうか?

「子供たちが大きくなっても、それぞれの部屋でのびのび過ごさせてあげたい」「通勤時間を減らして、家族で食卓を囲む時間を少しでも長くしたい」

そうした、お客様自身もまだ言葉にできていないような、心の奥底にある願いを汲み取らずに、条件に合った物件をただ紹介するだけでは、お客様の心には響かないんですよね。

落とし穴3:準備不足で、提案に自信と説得力がない

お客様は、あなたを「不動産のプロ」として頼ってくださいます。その期待に応えるだけの、徹底した準備ができているでしょうか。

  • 提案する物件のメリットだけでなく、デメリットもきちんと把握していますか?
  • 周辺エリアの治安や、スーパー、学校、病院などの情報を自分の足で確かめましたか?
  • お客様に最適な住宅ローンについて、複数の選択肢を提示できますか?

こうした準備が不十分なまま商談に臨むと、言葉の端々に自信のなさが表れてしまいます。お客様からの鋭い質問に答えられず、しどろもどろになってしまった経験はありませんか?その小さな不安が、お客様の大きな不信感に繋がってしまうんです。

落とし穴4:失注を「運が悪かった」で片付けてしまっている

お客様からお断りの連絡が来た時、人は誰でも落ち込むものです。「あんなに頑張ったのに…」と、やるせない気持ちになりますよね。

でも、そこで「今回はタイミングが悪かった」「相性が合わなかった」と、原因を自分以外のもののせいにして、思考を止めてしまってはいませんか?

契約が取れない時期が続く人は、この「振り返り」を疎かにしていることが多いんです。なぜ、今回は契約に至らなかったのだろうか。ヒアリングに問題はなかったか、提案内容は的確だったか、クロージングのタイミングは早すぎなかったか。

一つひとつの失注は、あなたの営業スキルを磨くための、最高の教科書になるはずなんです。

落とし穴5:プライドが邪魔して、一人で抱え込んでいる

「契約が取れないなんて、周りに知られたら恥ずかしい」「先輩に相談したら、仕事ができないやつだと思われるんじゃないか…」

そんな風に、一人で悩みを抱え込んでしまってはいませんか?真面目で、責任感の強い人ほど、この罠にはまりがちです。

でも、不動産営業は、決して一人で戦うスポーツではありません。あなたが悩んでいる問題は、先輩たちもみんな、かつて同じように悩んできた道なんです。一人で考え続けても、堂々巡りになるだけ。勇気を出して周りに助けを求めることは、決して恥ずかしいことではなく、プロとして成長するための、とても賢明な選択なんですよ。


もうダメかも…と思った時に。不動産営業で契約が取れない時の5つの処方箋

自分がどの落とし穴にはまっているか、少し見えてきたでしょうか。大丈夫ですよ。原因が分かれば、あとは正しいお薬を飲むだけです。ここからは、辛いスランプから抜け出すための、即効性のある5つの処方箋を、具体的にお伝えしますね。

処方箋1:自分の営業を「実況中継」するように書き出してみる

まずは、一旦立ち止まって、ご自身の営業活動を客観的に見つめ直してみましょう。頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出してみるのがポイントです。

お客様から初めてお問い合わせをいただいた瞬間から、アポイント、初回面談、物件案内、資金計画の提案、そしてクロージングに至るまで。その各段階で、「自分が何をしているか」「どんな言葉をかけているか」を、まるでテレビの実況中継をするように、細かく書き出してみてください。

そうすることで、「あれ、ここのヒアリングが足りていないな」「この提案、お客様目線じゃなくて自分本位になっているな」といった、課題点が面白いほど見えてくるはずです。自分の姿を客観視することが、改善への第一歩になります。

この作業は、できれば信頼できる上司や先輩と一緒に行うのがおすすめです。「この場面で、先輩ならどうしますか?」と問いかけることで、自分では気づけなかった視点や、具体的な改善策が見つかることが多いんですよ。

処方箋2:プライドを捨てて、トップセールスに「弟子入り」する

これが、スランプを脱出するための、もしかしたら一番の近道かもしれません。あなたの会社にいる、トップセールスの方の営業に、とにかく同行させてもらうんです。

「勉強させてください!」と、プライドを捨てて素直にお願いすれば、快く受け入れてくれる先輩は、きっといるはずです。

そして、ただ同行するのではなく、その一挙手一投足を、徹底的に観察し、真似(TTP:徹底的にパクる)をさせてもらうんです。

  • お客様との距離の縮め方は?
  • どんなタイミングで、どんな質問を投げかけている?
  • お客様の心を動かす「キラーフレーズ」は何か?
  • 商談後の、お礼メールの文面は?

売れている人には、必ず売れている理由があります。そのエッセンスを盗み、自分のものにすることで、あなたの営業は劇的に変わる可能性があります。

処方箋3:今日から「聞くプロ」になる。沈黙を恐れない

明日からの商談で、ぜひ一つだけ、意識していただきたいことがあります。それは、「自分が話す時間の2倍以上、お客様に話してもらう」ということです。

人は、自分のことを話したい生き物です。そして、自分の話を真剣に、楽しそうに聞いてくれる相手に、心を開き、信頼を寄せるものなんです。

お客様が話している途中で、話を遮ってしまったり、良かれと思って先回りして結論を言ってしまったりしていませんか?時には、お客様が次に話す言葉を探している「沈黙の時間」も、焦らずにじっと待ってあげる。この「待つ勇気」が、お客様の深い想いを引き出すための、魔法の杖になるんですよ。

処方箋4:いきなり「ホームラン」を狙わない。小さな「ヒット」を積み重ねる

契約が取れない時ほど、「一発逆転の大きな契約を…!」と、いきなりホームランを狙ってしまいがちです。でも、そうすると体に余計な力が入り、かえってバットにボールが当たらなくなってしまいます。

まずは、大きな「契約」というYESを目指すのではなく、その手前にある、小さなYESを一つひとつ積み重ねていくことを意識してみてください。

  • 「では、次回のお打ち合わせは、来週の土曜日の午前中でよろしいでしょうか?」(YES)
  • 「この資金計画のシミュレーション、一度お持ち帰りいただいて、ご夫婦でご覧いただけますか?」(YES)
  • 「もしよろしければ、参考までにこちらの物件の資料もお送りしてよろしいでしょうか?」(YES)

こうした小さな合意形成を繰り返すことで、お客様との間に少しずつ信頼関係のレールが敷かれていき、そのレールの先に、自然な形で大きなYESが待っているんです。

処方箋5:「契約」ではなく「自分の行動」に目標を置く

「今月、契約を1件取る」という目標は、素晴らしいですが、一つだけ弱点があります。それは、最終的な決定権がお客様にあるため、自分ではコントロールできない、ということです。

コントロールできないことを目標にすると、達成できない時に「自分はダメだ」と自己肯定感が下がってしまいます。契約が取れない時こそ、目標の置き方を変えてみましょう。

目標にすべきは、結果ではなく、100%自分でコントロールできる「行動」です。

  • 「今週は、お客様に有益な情報を30件お届けする」
  • 「今日は、過去にお会いしたお客様に、お伺いの電話を10本かける」
  • 「今月は、新しい物件を自分の目で20件見に行く」

こうした行動目標を立て、それを着実にクリアしていく。その達成感が、「自分はちゃんと前に進んでいる」という自信を取り戻させてくれる、何よりの心の栄養剤になるはずですよ。


辛い時期を「成長のチャンス」に変える心の持ち方

契約が取れない時期は、本当に辛く、苦しいものです。でも、見方を変えれば、この時期は、あなたが不動産のプロとして、そして一人の人間として、大きく成長するための、とても貴重な準備期間だとも言えるんです。最後に、そんな辛い時期を乗り越えるための、心の持ちようについてお話しさせてください。

他人と比べるのをやめ、「昨日の自分」に勝つことに集中する

SNSを開けば、同期が契約を喜ぶ投稿が目に入ってくるかもしれません。そんな時、焦りや嫉妬を感じてしまうのは、自然なことです。でも、他人と自分を比べている限り、あなたの心はいつまでも休まりません。

比べるべき相手は、ただ一人。「昨日の自分」です。昨日より一つでも多く専門用語を覚えられた。昨日より少しだけ、お客様の話を長く聞くことができた。どんなに小さなことでも構いません。その一歩ずつの成長を見つけて、たくさん自分を褒めてあげてください。

今は、結果を出す「収穫期」ではなく、力を蓄える「種まき期」だと考える

農業に、種をまく時期と、収穫する時期があるように、私たちの仕事にもリズムがあります。契約が取れない今は、無理に実を収穫しようともがくのではなく、来たるべき収穫期に備えて、畑を耕し、良い種をまく時期なんだと考えてみてはいかがでしょうか。

たくさんの物件を見て知識を蓄えるのも、素晴らしい種まきです。お客様との関係をじっくりと温めるのも、大切な種まきです。この時期にまいた種は、決して無駄にはなりません。やがて必ず、あなたの想像以上に大きな花を咲かせる時が来るはずです。

お客様からの「NO」は、あなたへの人格否定ではないと知る

お客様からお断りをされると、まるで自分という人間そのものを否定されたような気持ちになって、深く傷ついてしまうことがあります。でも、どうか思い出してください。

お客様の「NO」は、あなたという人格に向けられたものでは、決してありません。多くの場合、それは「今回は、タイミングが合わなかった」「提示された条件が、希望と少し違った」という、あなたとは別の次元にある理由から来ているんです。

この、「自分自身」と「お客様の判断」を、きちんと心の中で切り離すこと。これが、営業として長く活躍していく上で、あなたの心を健やかに保つための、とても大切なスキルになります。


不動産営業で契約が取れない時にこそ試してほしいことのまとめ

契約が取れずに、出口の見えないトンネルの中にいるように感じているあなたへ、いくつかの処方箋をお渡ししてきました。最後に、もう一度、大切なポイントを振り返っておきましょう。

  1. 契約が取れない原因は、あなた自身ではなく「やり方」にある
    まずは、自分の営業活動を客観的に見つめ直し、どこに課題があるのかを冷静に分析することから始めましょう。
  2. 基本に立ち返り、トップセールスから素直に学ぶ
    プライドを捨てて、売れている人のやり方を徹底的に真似ることが、スランプ脱出への一番の近道です。特に「聞く力」は、全ての基本です。
  3. コントロールできない「結果」ではなく、コントロールできる「行動」に集中する
    日々の行動目標をクリアしていくことで、自己肯定感を保ち、着実に前に進んでいるという自信を取り戻しましょう。
  4. 辛い時期は、未来への「種まき」の時期である
    今は、力を蓄え、成長するための貴重な時間です。他人と比べることなく、昨日の自分より一歩でも前に進めた自分を、たくさん褒めてあげてください。

契約が取れないという経験は、本当に辛いものです。でも、この痛みを知っているからこそ、あなたは、お客様の痛みが分かる、懐の深い営業マンになれるはずです。そして、この壁を乗り越えた時、あなたは以前よりもずっと強く、そして優しいプロフェッショナルになっていることでしょう。

この記事が、暗闇の中で足元を照らす、小さな灯りのような存在になれたなら、これほど嬉しいことはありません。